「こんなはずじゃなかった」を防ぐ、翻訳発注の賢い進め方(前編)

はじめに:翻訳依頼のミス「あるある」
翻訳依頼のこんな失敗、ありませんか?
翻訳を外注したものの、「なんとなく違和感がある」「修正が何度も発生した」「予算オーバーになった」
そんな経験はないでしょうか。
実際によくある声
😖 「翻訳は届いたけど、イメージと全然違う」
😖「修正を3回お願いしたら、追加費用が5万円発生した」
😖「納品後にレイアウトが崩れていることに気づいた」
😖「用語が統一されておらず、社内で指摘された」
😖「安い翻訳会社に頼んだら、結局高くついた」
翻訳は目に見えにくいサービスのため、ちょっとした認識のズレが、品質やコストに大きく影響します。
しかし、こうした失敗の多くは、実は事前に防ぐことが可能です。
本記事では、翻訳依頼でよくある失敗例と、その回避方法を具体的な事例とともに解説します。
翻訳依頼の失敗を上手に回避するため、この記事がお役にたてば幸いです。
今回は前編として、「コミュニケーションの重要性」とともに、上記の失敗が起きる理由を3つご案内します。
(中・後編では、失敗の事例をさらに詳しくご紹介し、それに対処する方法をご説明します。)
1. 翻訳依頼で失敗する理由3つ|なぜトラブルが起きるのか
翻訳依頼の失敗には、いくつか共通する原因があります。まず、失敗が起きる根本的な理由を三つご説明します。
① 翻訳は、前もって「完成形がイメージしにくい」
製品を購入する場合は、実物を目で見たり、カタログやサンプルで確認できたり、仕様が明確だったりなど、わかりやすい点が多いのが特長です。
これに対して、翻訳を依頼する場合は、「 最終形が事前に分からない」「サンプル翻訳があっても、自社の原稿とは内容が異なる」「 翻訳者のスキルや文体で結果が大きく変わる」「同じ原文でも、翻訳者によって訳文は異なる」など、曖昧でわかりにくい点が多いと思います。
例えば、同じ日本語を元にしても、翻訳にはバリエーションがあります。
日本語:「お問い合わせください」
👉 翻訳者A:”Please contact us“
👉 翻訳者B:”Please feel free to contact us“
👉 翻訳者C:”For inquiries, please reach out to us“
それぞれ微妙にニュアンスが異なっていますが、どれも正しい表現です。
どれにするかは、その場面にふさわしいと判断できる、はっきりとした根拠があれば選びやすいのですが、ほとんど主観的な判断(好み)によって決まることがよくあります。
② 情報が不足している
よくある状況として、目的が曖昧(「とりあえず英語にして」とか、「なんとなく必要」など)だったり、参考資料が不足している(過去の翻訳、用語集、スタイルガイドがない) 、対象読者・用途が不明(誰が読むのか、何に使うのか分からない)、などが挙げられます。
つまりは、そういった確認のキャッチボールがされない、翻訳者側とのコミュニケーションが少ない(依頼して終わり、質問に答えない)ことが大きな要因となっていいます。
情報不足の影響:
【情報が少ない場合】翻訳者が、「想像」で判断してしまう
👇
発注者の意図と異なる翻訳になる
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修正依頼が発生する(別途費用の発生)
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場合によっては、納期遅延
情報不足は、翻訳品質の直接的な低下要因にもなっています。
③ 「依頼して終わり」と考えている
多くの発注者は、翻訳を「依頼すれば自動的に完成する」と考えがちです。
しかし、重要な視点として、翻訳は “依頼して終わり” ではなく、”設計が必要な業務” です。
- 「必要な設計」とは、 つまり、以下の項目に対する確認事項 :
● 誰に向けた翻訳か(専門家、一般消費者、社内スタッフ)
● どのような用途か(マニュアル、マーケティング、契約書)
● どのレベルの品質が必要か(高品質、標準、簡易)
● どのような用語を使うか(専門用語、一般用語、社内用語)
● どのようなトーンか(フォーマル、カジュアル、技術的)
こういった具体的な「設計」がないと、翻訳者は「想像」で進めることになり、結果的に意図と異なる翻訳になってしまいます。
このようなことが起きないように、今回は、私どものような翻訳会社にとって、いかに「コミュニケーション」が翻訳の品質を左右する重要な要素であるのかをご説明いたします。
2. 翻訳におけるコミュニケーションの重要性
翻訳では、原文の構造が曖昧なケースも少なくありません。
例えば、最近手がけた、あるタイトルフレーズをご紹介したいと思います。
eラーニング(PowerPoint資料)のタイトル
介護ニーズ増加を見据えた支援/職場復帰支援プログラムの見直し
A社様では「福利厚生制度」の見直しにより、新しく制度が定められたり、従来からある制度の一部が改められたりしました。上記は、その説明をするeラーニングでの項目タイトルです。
「介護ニーズ増加を見据えた支援」と、「職場復帰支援」という二つの支援策名が並んでいるのが見て取れると思います。
(見た感じ、とくに問題は無いように思います。) タイトルとしてはわりと長めなので、少しシンプルにしてみます。
A支援/B支援 プログラムの見直し
このように短くすると気が付きやすいと思いますが、係り受けが明瞭ではなく、迷いやすい形になっています。
「A: 介護ニーズ増加を見据えた支援(プログラム?)」と「B: 職場復帰支援プログラム」の両方見直されるのか。
それともAは新しい支援で、「B: 職場復帰支援プログラム」だけが見直されるのか。
文脈によって解釈が分かれる可能性があります。
このようなケースで翻訳者が自己判断をすると、意図と異なる訳文になるリスクがあります。
ここで重要なのは、正確な翻訳ばかりでなく、「不明点を確認できる体制があるかどうか」です。
良い翻訳会社は、曖昧な表現に対してそのまま訳すのではなく、
「見直しの対象は両方でしょうか?」とか、
「“支援”は"プログラム"として扱ってよいでしょうか?」
といった形で、事前に確認を行います。
翻訳品質は、言語スキルだけで決まるものではありません。
こうした確認コミュニケーションの有無が、最終的な品質に大きく影響します。
翻訳会社を選ぶ際は、単に「訳せるかどうか」だけでなく、
👉 曖昧な点を適切に確認してくれるか、という視点も重要です。
タイトル(原文)のカスタマイズ
… 話は少しそれますが、
A支援/B支援 プログラムの見直し
この表現では、どういった内容の「見直し」なのか具体的ではありません。
もちろん、最初から「悪い方向」に見直される(?) ことはあり得ないので、「見直し」と言った時点では前向きで、好ましい印象を与えます。
日本の組織文書では一般的に柔らかい表現が好まれるため、このように何となくフワッとした言い方をします。
一例として具体的な言い換えをご紹介します。もし下のような言い換えならば、係り受けについて判断を迷うことは無さそうです。
支援制度の改善 (介護ニーズ/職場復帰)
そして英語では、このような簡潔なタイトルがよく好んで使われます。翻訳者の立場としては、この解釈の正否について、確認を取る必要があるのです。
文書など、翻訳の対象となるテキストの量が多ければ多いほど、確認が必要となる疑問点も多いはずです。
確認事項の量と時間とのせめぎ合い
後編で触れていますが、納期が極端に短く設定されていると、確認に割く時間が少なくなり、どうしても翻訳者主観の翻訳になってしまいがちです。
解釈が合っていれば問題ありませんが、万一間違ってしまった場合、出戻りの修正で余計に時間がかかってしまい、結果的にはお客様にご迷惑をかけてしまうことになりかねません。
設定された納期日までの間にとれる確認時間と、確認事項の量とは常にせめぎ合いの関係にあります。
確認の手間を惜しむことは決してありませんが、時間との兼ね合いも必要なことです。
したがって翻訳に入る前に、原文であいまいな点をなるべくつぶしておくことは、翻訳の品質を上げるのにかなり大切なことと言えます。
翻訳に入る前から、そのようなコミュニケーションが取れる翻訳会社を選ばれると良いでしょう。
3. 翻訳会社選びで重要な視点
繰り返しますが、翻訳品質は、実は翻訳作業そのものよりも「翻訳前のコミュニケーション」で決まります。
そこで翻訳会社を選ぶ際は、「価格」以外にも以下の視点をおさえることが重要と考えます。
視点:対応の柔軟さ
【確認すべきこと】:質問に丁寧に答えてくれるか、提案をしてくれるか、納期調整に柔軟か、コミュニケーションが円滑か、などが確認ポイントです。
良い翻訳会社の特徴:質問に対して具体的に答える。依頼者の状況を理解した提案(「できません」ではなく代替案を提示する)や、レスポンスが早いなど。
特に、相談段階での対応は重要な判断材料になります。
※ 後編でも「翻訳会社選びで重要な視点」は、2点ご紹介します。そちらも合わせてご覧いただけると、一層、翻訳会社選びの判断基準としてお役に立ちます。
まとめ:
本記事のポイント:翻訳依頼の失敗には、以下3つの理由があります。
1. (理由): 翻訳は、前もって「完成形がイメージしにくい」
2. (理由): 情報が不足している
3. (理由): 「依頼して終わり」と考えてしまう
上記による失敗を避けるには、円滑なコミュニケーションが取れる翻訳会社にご相談いただくこと。
そして、有効な情報を相互に共有することが、大切であることがお判りいただけたかもしれません。
また、1番の理由の、「翻訳としての完成形」ではなく、最終成果物としての完成形は、はっきりしている場合もあります。
その中でもレイアウトやデザインが関係するコンテンツは、単に訳すだけでなく、「そのまま使える状態」にすることが重要です。
もし、翻訳を外部に依頼する際は、レイアウトまで含めて対応できるかを確認していただくことが大切であることも申し添えます。
※ 中・後編では、翻訳依頼の失敗事例をいくつか挙げ、その対処方法もご紹介してまいります。
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