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直訳が招くハラスメント研修の致命的な誤解!eラーニングを「炎上しない」英語にするプロの技術

(ハラスメントやパワハラのケーススタディを例に、学習者に伝わる英語翻訳のポイントをわかりやすく解説)

eラーニングシナリオに潜む落とし穴

目次

はじめに

グローバルスタッフに、コンプライアンス内容を伝えるのに、eラーニングを利用しているでしょうか。

    もし、研修シナリオを作成する場合、どのような事柄に気を付けるべきでしょうか。

    法律用語が正確ならOK」という考えだけでは、実は致命的な誤解を招くリスクがあるのです。

    当然ながら日本の職場向けの研修シナリオの多くは、日本の文化的背景を前提に設計されています。

    たとえば、登場人物の「心情」や「空気を読む」といったやりとりが、違和感なく登場します。

    そのため、その独自の文化を直訳してしまうと、正確に伝わらなかったり、誤解されたりします。

    そのままでは英語圏ほかの学習者(受講者)には「なぜこの行動が問題なのか?」が伝わりません。

    そして最悪の場合、この研修は「不適切な行動を推奨している」とすら受け取られかねません。

    1.【致命的な誤解】「空気を読む」シナリオが海外でハラスメントになる瞬間

    たとえば、次の具体例をご覧ください。

    ケース: 【「上司が、部下の曖昧な返答に違和感を覚え、問いただす」シーン】

    (部下の気持ちを察する「良い上司」が、「ハラスメント上司」に変わる瞬間)

    上司:「最近どう?何かあった?」

    部下:「いえ、大丈夫です。」

    上司:「本当に?無理してない?」

    日本では、上司が部下の気持ちを察して「寄り添う」場面として、自然に描かれていると思います。

    • 日本語シナリオの意図 :
      • 部下は何かしら「空気を読んで」、実は問題があることを隠している
      • 上司はそんな部下の「気持ちを汲みとりながら」さらに踏み込んで確認を行なっている。
    • 誤解して解釈した場合 :
      • 部下の意思を無視した上司による「圧力・強要」。
      • 明確な発言がないのに問い詰める上司の行動はハラスメントである」と解釈される危険性があります。

    たとえば、この誤解に気が付かずに次のように翻訳するとします。

    危険な翻訳例

    “Are you sure? You look stressed. Tell me what’s going on.”

    この英文は、英語圏では以下の点で問題が生じると考えられます。

    • 「見た目 = look stressed」への言及がNG
    • “Tell me” が命令口調に聞こえる
    • 部下の意思を無視しているように見える

    結果として、上司からの「心理的圧力」と判断される危険があります。

    では、この場合は、どうすれば良いのでしょうか。

    2.【文化差の落とし穴】善意の行動が「ハラスメント」に変わる理由

    日本語で「配慮」や「思いやり」として描かれた行動が、文化の違いで「不適切な行動を推奨している」、

    あるいは「ハラスメントそのもの」と誤認され、研修の目的を完全に損なうことになりかねません。

    したがって、eラーニング翻訳の鍵は、字句通りの「言語置き換え」ではすまないことがわかります。

    文化差を考慮し、学習者の状況・心理・目的に応じて「自然な行動描写に書き換えること」が重要です。

    これにより、学習者の理解度と記憶の定着を高め、研修効果を最大化できるといえます。

    適切な英訳境界線を守りながら、支援の気持ちを示す

    研修の意図を守るためには、英語圏の価値観に合わせた表現に調整しないといけません。

    適切な翻訳例

    【危険な直訳の改善】

    “If there’s anything you’d like to talk about, I’m here to listen.

    No pressure — take your time.”

    (日本語)「何か話したいことがあれば、いつでも聞きますよ。無理しないで、ゆっくりで大丈夫ですからね。」

    このように相手に選択権を与えつつ、支援の姿勢だけを示す表現にするのが安全です。

    3.「緊張感」はTensionではない!ハラスメント事例で直訳が失敗する瞬間

    日本語では、よく「〇〇感」(緊張感、安心感、達成感など)という表現を使うと思います。

    これらの「〇〇感」を翻訳するにあたって、「直訳」を避けたほうが良い場合があります。

    その方が、そのときの心理状態や文脈を正確に伝えられるからです。

    ここでは、「職場ハラスメント」のケーススタディから、具体的な置き換えの工夫を見ていきましょう。

    ケース:【「上司の赤坂さんが部下を怒鳴りつけて叱責し、周りが委縮する」シーン】

    (スクリプト)

    資料作成の納期が迫っていることもあり、チームは緊張感を持って作業を進めていました。

    赤坂さんの怒声が響き渡り、同席していた他のメンバーは、緊張した面持ちで黙ってしまいました。

    • 原文: 「チームは緊張感を持って作業を進めていました。」

    「緊張感」を直訳すると「tension」ですが、文脈の中心または核心は、納期が迫り、集中して作業を進めている「状況の切迫感」です。

    • 直訳の危険性 : 「Tension」では、単なる張り詰めた雰囲気しか伝わらない。
    • プロの訳文 :
      • The team worked with extra focus and urgency.
    • 改善ポイント: 納期が迫る「切迫感と集中度の高さ」が具体的に描写されています。

    また、同様に「緊張」というフレーズが入った以下の例はどうでしょうか。

    • 原文: 「同席していた他のメンバーは、緊張した面持ちで黙ってしまいました。」
    • プロの訳文 :
      •  The other team members froze, too afraid to speak.
    • 改善ポイント :
      • 「緊張した面持ち」を直訳するだけでは、学習者に場面のインパクトを与えられない。
      • 直訳(a tense expression)を避け、「怖くて物が言えないほど固まった」とした。
      • 直訳では情緒的な描写のみとなって、英語話者に状況の切迫感が伝わらない

    翻訳の鍵:「気持ち」ではなく「行動」で語る

    この2つの例の翻訳の最大のポイントは、「気持ち」から「行動」へと視点を転換した点です。

    • 日本語の文化: 「どう感じたか」に重点が置かれ、情緒的・内省的に描写されます。
    • 英語圏の文化: 『どう行動したか』で気持ちを伝え、具体的・行動的に描写する方が自然。

    そのため、表情や気持ちを直接言わないで、『話せないほど緊張して固まった』という

    具体的な行動に置き換え、学習者が状況を直感的に理解できる英語表現になっています。

    4. ケーススタディ翻訳の注意点

    日本語の「声を上げる」が英語で「怒鳴る」になる文化の壁

    コンプライアンス研修のケーススタディでは、登場人物の感情や行動の理由が細かく描かれます。

    これは一般的なビジネス文書よりも情緒的な要素が多いからで、翻訳にも注意が必要です。

    翻訳では以下の要素を「そのまま直訳で置き換えない」ことが極めて重要なのです。

    • 心理描写: (例: 日本的道徳観の「遠慮」を、「消極性」として理解させてしまう。)
    • 登場人物の立場関係: (上司・部下の関係性をパワーバランスとして描いてしまう。)
    • 組織文化と行動の背景: (日本的な「忖度し、察する」文化が、曖昧、不明瞭になる。)

    特に重要なのは、日本語と英語では「同じ言葉」が真逆の文化的イメージを持ってしまう場合がある点です。

    例えば、「声を上げる」は日本語では“勇気をもって意見を言う”という前向きな意味で使われます。

    • 日本語のイメージ: 勇気をもって意見を言う、前向きな行動
    • 英語のイメージ: 声を荒げる、怒鳴るというネガティブな行動

    もし原文を直訳してしまうと、「勇気をもって怒鳴りましょう」という趣旨に変わってしまいます。

    それではコンプライアンス上、ありえないメッセージを伝えてしまうことになります。

    誤解を防ぐ自然な翻訳

    • 原文: 声を上げることが重要です。
    • 危険な直訳 : It’s important to raise your voice. (= 怒鳴る) ×
    • 適切な英訳 : It’s important to speak up. (=声に出す) ○

    この「speak up」という訳は、日本語で意図されている「自分の考えや意見を伝える」という

    文化的背景を理解した上で、英語として自然で誤解のない表現を選んだものです。

    なぜ文化背景の理解が必要なのか?

    この誤解が生まれる背景には、両言語の根本的な文化の差があります。

    日本語の文化: 「察する」「空気を読む」「控えめに表現する」といった文化に支えられています。

    英語圏の文化: 「行動で示す」「明確に伝える」「議論をオープンにする」ということに価値を置きます。

    そのため、日本語の情緒的な言い回しをそのまま英語に当てはめても、同じ理解や行動には繋がらないことがほとんどです。

    プロの翻訳とは、この文化的ズレを修正し、研修のメッセージが正確に届くように設計する作業なのです。

    5.【プロの技】「緊張」を「Thundered」(雷鳴)に変換するインパクト

    研修のメッセージを正確に伝えるためには、日本語(原文)の情緒的な描写に工夫が必要です。

    それには、英語圏の学習者が瞬時に理解できる自然な行動へ再構築しないといけません。

    それでは、先のスクリプトを例に説明します。 (3. のスクリプトをもう一度、掲載します。)

    (スクリプト)

    資料作成の納期が迫っていることもあり、チームは緊張感を持って作業を進めていました。

    赤坂さんの怒声が響き渡り、同席していた他のメンバーは、緊張した面持ちで黙ってしまいました。

    ✅ ①驚きの転換事例: プロの「行動描写」テクニック

    その1. 「赤坂さんの怒声が響き渡り、~」(叱責シーンの迫力)

    • 原文の意図:上司の大きな声
      • Mr. Akasaka’s voice thundered through the room.
    • 改善ポイント:
      • 直訳の「raise his voice」よりも「雷鳴が部屋に響き渡る」という表現を用いています。
      • これにより、英語として、叱責の威圧感や状況の深刻さが一瞬で伝わります

    その2. 部下が遠慮した場面

    • 原文の意図:部下は遠慮して意見を述べなかった
      • The Subordinate held back their opinion.
    • 改善ポイント:
      • 「遠慮」を直訳するのではなく、「自分の意見を差し控えた/ 引っ込めた」という具体的な行動(held back) に変換。
      • これにより、上司への配慮ではなくコミュニケーション不足として状況を明確に伝えます。

    ✅ ②プロ翻訳の真髄は「文章設計」にある

    これらの調整は、単に単語を置き換える作業ではありません。

    • 原文の核となる意味を守りつつ、
    • 英語圏の文化と文脈に合った行動描写へ再設計する。

    この技術こそが、直訳では決して生まれない、「理解されるための文章設計」であり、

    「コンプライアンス研修の学習効果を担保する」、プロ翻訳としての技術と言えます。

    6. 法律的リスク回避:コンプライアンス翻訳に必須の「4つの整合性」

    コンプライアンス関連文書の翻訳は、単なるコミュニケーションの問題にとどまりません。

    すなわち、それは、企業が負う「法的・社会的なリスク」に直結していくのです。

    そのため、これまでの事例(ケース)で見た「行動描写の自然さ」を念頭に翻訳することが大切です。

    また、それに加えて、以下の「4つの専門的な整合性」を徹底する必要があります。

    • 法的ニュアンスの整合性: 原文の法律用語を、英語圏の法体系・文脈に照らし、誤解を生まない用語を選定する。
    • 専門用語の一貫性: 研修全体を通して、キーコンセプトの専門用語にブレが無いように統一する。
    • 文脈整合性: 直訳を避け、英語圏で一般的な言い回しに「換装」することで、違和感を排除する。
    • 行動描写の自然さ: 日本特有の心理描写を、文化的なズレなく明確な行動として伝える

    これら4つの徹底的な翻訳調整こそが、研修の可能性と学習効果を高める鍵です。

    直訳では決して生まれない、「受講者の理解を設計する」ことが、コンプライアンス翻訳には欠かせません。

    7. 【リスク回避】「伝わる翻訳」で研修効果を最大化する5つの理由

    弊社のeラーニング翻訳は、単に言語を「置き換える」のではなく、「学習として伝わる言語設計」を最重視しています。

    さらに、eラーニング翻訳のプロに依頼することで、以下の決定的なメリットを得ることができます。

    eラーニング専門の翻訳会社に依頼する5つのメリット

    1. 文化差の解消: 心理描写や感情表現を、英語圏で違和感なく伝わる英文に調整しメッセージを浸透。
    2. 誤解の排除: 学習者が「不適切な行動」を推奨されていると誤解しない、安全な校正の担保。
    3. 専門性の確保: 専門用語や行動背景のニュアンスを調整し、法的・社会的な誤認を防ぐ。
    4. 読みやすさの最適化: 研修シナリオの読後感を損なわず、スムーズに頭に入る英文フローの実現。
    5. 研修効果の最大化: 「受講者の理解が進まない」ことによる、コンプライアンス違反発生リスクの抑制。

    これらのプロセスを踏まえた翻訳を行い、「英語圏の受講者にも違和感なく理解される研修」 を実現します。

    直訳に頼らず、意味を正確に・自然に・誤解なく伝える翻訳が、弊社の強みです。

    8. eラーニング翻訳を成功させるために: 今すぐ始めるべきこと

    eラーニング翻訳を成功させるには、単なる翻訳スキルを超えた要素が必要です。

    すなわち、それは「内容理解・語彙選定・トーン調整」の三つの要素です。

    そして、「文化的ズレの解消」が不可欠ですが、意外と見落とされやすいのです。

    それは、語学の知識だけではカバーできず、文化背景の深い理解が求められるからです。

    特に、日本の職場文化や文脈に基づくシナリオでは、英語圏の受講者にも背景や状況が伝わるよう補足説明が必要です。

    専門性と自然さを両立した翻訳、ひいては補足的な「文章設計」が求められます。

    そこで、私たちプロの翻訳チームは、目に見えないリスクを回避する「予防線」となります。

    すなわち、文化的誤解から生じるハラスメントの再発、受講者の誤解、そしてそれに伴う企業ブランドの毀損

    これらのリスクを今こそ、解消すべきではないでしょうか。

    そして、重要なコンプライアンス研修を、多国籍なスタッフに「正しく伝わる資産へと変える時だと強く感じます。

    貴社のeラーニング研修を、誤解なく、かつ効果的にグローバル展開するために、どのようなサポートが必要でしょうか。

    もし、言語の種類に関わらず、学習効果の高いeラーニング作成にお悩みの場合は、ぜひ「翻訳+プラス」にご相談ください。

    お問い合わせは、こちらにて、お気軽にお問い合わせください。

    (他、ご参考ページ)

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