
プロが使う翻訳資産管理で、継続的なコスト削減と品質向上を実現
「また同じ表現を翻訳している気がする」「製品マニュアルの改訂版なのに、前回と違う訳語になっている」「翻訳コストが毎回かかりすぎる」
——こうした課題を抱えていませんか?
実は、プロの翻訳会社が使っている「翻訳メモリ(TM)」という技術があれば、これらの問題はすべて解決できます。
この「翻訳メモリ」を活用すれば、2回目以降の翻訳コストを30〜50%削減しながら、同時に用語の一貫性と品質を向上させることができるのです。
しかし、多くの企業はこの強力なツールの存在を知らないか、十分に活用できていません。
この記事では、翻訳業界20年のプロフェッショナルが、翻訳メモリの仕組み、メリット、具体的な活用方法、そして実際のコスト削減事例まで。
とくに、いわゆるBtoB企業が知るべきすべてを徹底解説します。
従って、この記事を読めば、以下の成果が見込めます。ぜひ、目を通していただけますと幸いです。
- – 翻訳メモリがなぜコストと品質を両立できるのか理解できる
- – 自社の翻訳プロジェクトで翻訳メモリを活用する方法が分かる
- – 実際にどれだけのコスト削減が可能か具体的にイメージできる
- – 翻訳会社を選ぶ際の重要な判断基準が明確になる
第1章:翻訳メモリ(TM)とは何か
1-1. 翻訳メモリの基本概念
翻訳メモリ(Translation Memory、略称TM)とは、過去に翻訳した原文と訳文を「対」で保存し、データベース化する技術です。
シンプルな例:
【過去の翻訳】
原文: “Click the Submit button.“
訳文: “送信ボタンをクリックしてください。“
【新しい文書で同じ文が出現】
原文: “Click the Submit button.”
→ TMが自動的に過去の訳文を提示
→ 翻訳者はそのまま使用、または必要に応じて、微調整を行なう。
結果: 翻訳時間が大幅に短縮、用語も統一される
重要なポイント: 翻訳メモリは単なる「翻訳の再利用」ではありません。翻訳資産を組織的に管理し、継続的に価値を生み出すシステムです。
1-2. 機械翻訳との決定的な違い
多くの人が誤解していますが、翻訳メモリと機械翻訳(AI翻訳)とは全く役割が分かれています。
機械翻訳との役割分担
| 項目 | 翻訳メモリ(TM) | 機械翻訳(MT) |
| 仕組み | 過去の翻訳データを管理 | AIが統計的・ニューラル的に翻訳を生成 |
| セキュリティ | 通常は、クローズド | とくに汎用AIでは、オープン |
| 品質 | 主に人間が翻訳・承認。通常は、高品質 | 品質にばらつきがある |
| 一貫性 | 完璧に一貫性が保たれる | 同じ原文でも異なる訳が出る場合あり |
| 専門用語 | 企業固有の用語を正確に反映 | 一般的な訳語になりがち |
| 学習 | 使うほど蓄積され、価値が上がる | 毎回ゼロから生成 |
| コスト | 初回は通常料金、2回目以降は大幅割引 | 安価だが品質は不安定 |
BtoB企業にとって重要: 機械翻訳は「安いが品質が不安定」、翻訳メモリは「おもに(人間の)確認済みの翻訳を効率的に再利用」という根本的な違いがあります。
1-3. 翻訳メモリの歴史と進化
それでは、少しだけ「翻訳メモリ」の歩みをふり返ってみます。
1980年代後半:誕生
– 翻訳支援ツール(CAT: Computer-Assisted Translation)の一機能として開発 – 初期は欧州の国際機関(EU、国連等)が大量の多言語文書処理のために導入
▼
1990年代:商業化
– SDL Trados等の商用ソフトウェアが登場 – 大手製造業、IT企業がマニュアル翻訳に活用開始
▼
2000年代:標準化
– TMX(Translation Memory eXchange)形式の標準化 – 異なるツール間でTMを共有可能に
▼
2010年代〜現在:クラウド化・AI統合
– クラウドベースのTMシステム(memoQ、Phrase等) – 機械翻訳との統合(MTPE: Machine Translation Post-Editing) – リアルタイム共同作業が可能に
今日のTMは単なるツールではなく、企業の翻訳資産を管理する戦略的システムにまで成長を遂げたと言えます。
この「資産」を活用して、多くの国内外企業がコストを抑えつつ、ブランド品質の多国語化に成功してきた歴史があります。
第2章:翻訳メモリがコストと品質を両立できる理由
2-1. コスト削減の仕組み
翻訳メモリは、一致率(Match Rate)に応じて翻訳料金を削減します。
一致率の種類:
- ① 100%一致(Total Match / 完全一致)
- 原文が完全に同じ
→ 翻訳料金: 無料〜10%
- 原文が完全に同じ
- ② コンテキストマッチ(Context Match / 文脈一致)
- 原文も前後の文も完全に同じ
→ 翻訳料金: 無料
- 原文も前後の文も完全に同じ
- ③ファジーマッチ(Fuzzy Match / 部分一致)
| 一致率 | 翻訳料金 (例) | 例 |
| 95-99% | 20-30% | 数字や固有名詞のみ異なる |
| 85-94% | 40-60% | 一部の単語が異なる |
| 75-84% | 60-80% | かなり異なるが構造は類似 |
| 50-74% | 80-100% | 参考程度 |
- ④ 新規(No Match)
- 過去にない文章
→ 翻訳料金: 100%(通常料金)
- 過去にない文章
実際のコスト削減例: 【製品マニュアル改訂版の翻訳】
総文字数: 50,000ワード
一致率の内訳:
– 100%一致: 20,000ワード(全体の40%)→ 無料
– 95-99%一致: 10,000ワード(〃20%)→ 30%料金
– 85-94%一致: 5,000ワード(〃10%)→ 50%料金
– 新規: 15,000ワード(〃30%)→ 100%料金
計算(単価25円/ワードの場合):
– 100%一致: 20,000 × 0円 = 0円
– 95-99%一致: 10,000 × 7.5円 = 75,000円
– 85-94%一致: 5,000 × 12.5円 = 62,500円
– 新規: 15,000 × 25円 = 375,000円
合計: 512,500円(通常1,250,000円の約41%)
削減額: 737,500円(約59%削減) ※
※ この例では、TM活用により約74万円のコスト削減を実現しています
2-2. 品質向上の仕組み
翻訳メモリがもたらす品質向上は、コスト削減以上に重要です。
① 用語の完全な一貫性
課題: 「Submit button」が文書によって、ある箇所で「送信ボタン」、別の箇所で「提出ボタン」、さらに別で「サブミットボタン」と、表現に幅が出て振れてしまう。
このような不統一は、ユーザーを混乱させます。
TM活用後: 過去に承認された「送信ボタン」が自動的に使用され、100%統一されます。
BtoB企業への影響: – 技術文書:誤解による誤操作を防止 – マーケティング:ブランドメッセージの一貫性 – 法律文書:用語の統一が法的に重要
② 人間による承認済みの訳文のみを使用
機械翻訳と異なり、TMに登録されるのは、以下の条件を経たものになります。
1. プロの翻訳者が翻訳 2. 複数段階のチェックを経た 3. クライアントが承認した 4. 品質が保証された訳文のみ
つまり、TMは企業の翻訳品質基準を体現したデータベースです。
③ 翻訳スピードの向上= レビュー時間の確保
TM活用により翻訳作業時間が短縮されると、その分を以下に充てられます。
すなわち、- より丁寧なレビュー 、専門家によるチェック 、文脈に応じた微調整など。
結果として、全体的な品質が向上します。
④ 翻訳者の学習曲線
TMには過去の翻訳者の判断が蓄積されています。
たとえば、新しい翻訳者がプロジェクトに参加しても、TMを参照することで、以下の内容を習得する必要が出てきます。
① 企業のスタイルを理解 ② 専門用語を学習 ③ 過去の翻訳パターンを把握
結果的に、組織知として機能し、品質の安定性が向上します。
2-3. なぜ両立できるのか:投資と資産の考え方
多くの人(企業)が誤解しているのは、「翻訳は毎回ゼロからやり直すもの」という認識です。
そして、翻訳メモリ(TM)を活用すると、その認識が覆されます。
従来の考え方(×):
翻訳 = 消費
毎回、同じコストがかかる使い捨ての作業
TMを活用した考え方(○):
翻訳 = 投資
翻訳するたびに資産が蓄積され、価値が増大していくことを表します。
投資対効果(ROI)の視点 イメージ
(初回)プロジェクト:
費用: 1,000,000円
TM構築: 完了
(2回目)プロジェクト:
費用: 600,000円(40%削減)
累積削減: 400,000円
(3回目)プロジェクト:
費用: 550,000円(45%削減)
累積削減: 850,000円
(4回目) 以降:
毎回40-50%削減が継続
累積削減は増え続ける
3-5年で見ると、初回の投資を大きく上回るリターンが得られます。
第3章:BtoB企業における翻訳メモリの具体的な活用方法
3-1. 製品マニュアル・技術文書
最も効果が高い用途: 製品マニュアル、取扱説明書、技術仕様書、ヘルプドキュメント
なぜ効果的か: ・定型表現が多い(「ボタンをクリック」「電源を入れる」等) ・製品のバージョンアップで一部のみ変更 ・ 複数の製品で共通の操作手順
実例:製造業A社(工作機械メーカー)
初回:新製品の取扱説明書 – 文字数: 80,000ワード – 費用: 2,400,000円(30円/ワード) – TM構築: 完了
2回目:次世代機の取扱説明書 – 文字数: 85,000ワード – TM一致率: 60%が80%以上一致 – 費用: 1,360,000円(約43%削減) – 削減額: 1,040,000円
3回目以降:シリーズ製品展開 – 毎回40~50%のコスト削減 – 3年間の累積削減額: 約450万円
追加効果: – 用語統一により、サポート問い合わせが15%減少 – マニュアルの理解しやすさ向上によるクレーム減少
3-2. ウェブサイト・ECサイト
活用シーン: コーポレートサイト、製品ページ、ブログ記事、ECサイトの商品説明
なぜ効果的か: – 定期的な更新が発生 – 共通のナビゲーション、フッター、免責事項 – 製品説明の定型フォーマットがあるから。
実例:SaaS企業B社
初回:ウェブサイト全体の翻訳(英語版) – ページ数: 150ページ – 文字数: 60,000ワード – 費用: 1,500,000円
更新(月次):新機能追加、ブログ更新 – 月間更新: 5,000-8,000ワード – TM一致率: 50~70%
– 月額費用: 80,000-120,000円(TM活用前: 150,000-200,000円)- 年間削減額: 約84万円
3年後の状況: – TM蓄積: 200,000ワード以上 – ブランドメッセージの一貫性向上 – 翻訳スピード向上により、日英同時リリースが可能に
3-3. 契約書・法律文書
活用シーン: NDA、売買契約、ライセンス契約、利用規約、プライバシーポリシー
なぜ効果的か: ・ 法律文書の定型表現(「甲は」「乙は」「本契約において」等) ・ 自社の契約条項は繰り返し使用される ・ 用語の一貫性が法的に極めて重要
実例:商社C社
背景: 海外との取引が多く、年間100件以上の契約書翻訳が発生
TM構築前: – 平均費用: 50,000円/契約(10ページ想定) – 年間費用: 5,000,000円 – 課題: 同じ条項なのに毎回翻訳、用語の不統一
TM構築(1年目): – 標準契約書テンプレート30種を翻訳・TM化 – 投資額: 3,000,000円
2年目以降: – 平均TM一致率: 70% – 平均費用: 25,000円/契約(50%削減) – 年間費用: 2,500,000円 – 年間削減額: 2,500,000円
投資回収:1年2ヶ月で完了追加効果: – 用語統一により、法的な解釈の齟齬が減少 – 契約交渉のスピードアップ(翻訳待ち時間の短縮)
3-4. マーケティング資料
活用シーン: 製品カタログ、パンフレット、プレスリリース、ホワイトペーパー
なぜ効果的か: – 企業のブランドメッセージは一貫 – 製品説明の定型フォーマット – シリーズ製品で共通の表現
実例:医療機器メーカーD社
背景: 年4回の展示会で、毎回新しいパンフレット・カタログを多言語展開
TM活用による変化:
従来(TM活用前): – 1回の展示会: 5言語 × 3種類の資料 – 平均文字数: 8,000ワード/資料 – 費用: 約300,000円/資料 × 15 = 4,500,000円/年
TM活用後(2年目): – TM一致率: 平均55% – 費用: 約180,000円/資料 × 15 = 2,700,000円/年 – 年間削減額: 1,800,000円
ブランディング効果: – 製品の「売り文句」が全言語で統一 – 展示会での顧客への説明がスムーズに – ブランドイメージの一貫性向上
3-5. 社内文書・トレーニング資料
活用シーン: 社内規程、業務マニュアル、トレーニング資料、社内報
なぜ効果的か: – 社内用語・略語が繰り返し使用 – 定期的な更新が発生 – 多言語対応が必要(グローバル企業)
実例:グローバル製造業E社
背景: 30カ国に拠点、現地スタッフ向けに業務マニュアルを10言語で展開
TM構築プロジェクト:(以下のフェーズ)
- フェーズ1(初年度): – 基幹業務マニュアル20種を英語翻訳・TM化 – 投資額: 8,000,000円
- フェーズ2(2年目): – 英語TMを基に9言語に展開 – TM一致率: 英語で80%、他言語で60%
– 費用: 12,000,000円(TM活用なしなら25,000,000円) – 削減額: 13,000,000円 - フェーズ3(3年目以降): – 年次更新: TM活用で50-60%削減 – 年間削減額: 約600万円
投資回収:2年半で完了
業務効率化: – 現地スタッフのトレーニング時間が30%短縮 – 用語統一により、グローバルでのコミュニケーションが円滑化
第4章:翻訳メモリと用語集の連携
翻訳メモリの効果を最大化するには、用語集(Termbase / Glossary)との連携が不可欠です。
4-1. 用語集とは
用語集(Termbase)は、企業固有の専門用語、製品名、ブランド用語を登録したデータベースです。
翻訳メモリと用語集の違い:
| 項目 | 翻訳メモリ(TM) | 用語集(Termbase) |
| 対象 | 文単位 | 単語・フレーズ単位 |
| 内容 | 「原文→訳文」の対(つい) | 「用語→訳語」の対(つい) |
| 目的 | 文全体の再利用 | 用語の統一 |
| 登録方法 | 翻訳プロジェクトから自動蓄積 | 手動で登録・管理 |
用語集のイメージ:左右の対になる語が、並列に登録されています。
【英語→日本語】
Submit button → 送信ボタン(✓ 承認済み)
提出ボタン(× 使用禁止)
サブミットボタン(× 使用禁止)
Product X → 当社製品X(固有名詞、翻訳しない)
Terms of Service → 利用規約(法律文書で統一)
4-2. TM + 用語集の連携効果
シナリオ:製品マニュアルの翻訳につき、「用語集連携」の有る無しで解説していきます。
用語集のみの場合:確認の手間がかかってしまいます。
原文: “Click the Submit button to send your data.”
→ 翻訳者は「Submit button」を用語集から「送信ボタン」と確認
→ 文全体は手動で翻訳
TM + 用語集の連携:効率よく、用語正否の確認ができます。
原文: “Click the Submit button to send your data.”
→ TMが類似文「Click the Submit button to proceed.」を提示
→ 用語集で「Submit button」=「送信ボタン」を念のため、確認
→ 翻訳者は両方を参照し、迅速かつ正確に翻訳
メリット:利点として、以下のものが考えられます。
- 翻訳スピード:TM提示で80%完成、用語集で最終確認
- 品質向上:用語統一 + 文脈に応じた自然な表現
- 学習効果:新しい翻訳者も企業のスタイルを迅速に把握
4-3. 用語集管理のベストプラクティス
① 初期構築: – 製品名、サービス名、ブランド用語を優先 – 頻出する専門用語(20-50語)を登録
– 使用禁止の訳語も明記
② 継続的メンテナンス: – 新製品リリース時に追加 – 四半期ごとにレビュー – 翻訳者からのフィードバックを反映
③ 多言語対応: – 主要言語(英語、中国語、韓国語等)すべてに対応 – 言語間での用語の整合性を確保
④ 権限管理: – 用語の追加・変更は責任者の承認制 – バージョン管理で変更履歴を記録
第5章:翻訳メモリ導入の実践ステップ
「翻訳メモリ」は、やみ雲に導入するより、あらかじめ「資産効果」をはかって準備するのがコツです。
5-1. 導入前の準備
- ✅現状分析
- 以下を把握します:
– 年間の翻訳量(文字数、プロジェクト数)
– 翻訳する文書の種類(マニュアル、契約書、ウェブサイト等)
– 繰り返し翻訳する文書の割合 – 現在の年間翻訳コスト
- 以下を把握します:
- ✅ ROI試算
- 【試算例】
年間翻訳量: 500,000ワード
平均単価: 25円/ワード
年間コスト: 12,500,000円 - TM活用後の想定:
- – 初年度: 削減なし(TM構築)
- – 2年目: 30%削減 → 年間375万円削減
- – 3年目: 40%削減 → 年間500万円削減
- – 4年目: 45%削減 → 年間563万円削減
- 3年間累積削減: 約1,438万円
- 【試算例】
- ✅翻訳会社の選定
- TM活用能力を確認:
□ TM対応ソフトウェア(Trados、memoQ、Phrase等)を使用しているか
□ TMの構築・管理経験が豊富か
□ TM一致率に応じた料金体系が明確か
□ 用語集管理のサポートがあるか
□ TMデータの所有権と提供方針(重要)
- TM活用能力を確認:
5-2. TM構築フェーズ
ここでは、「翻訳メモリ」を構築するケースを、2つに分類して解説していきます。既存の翻訳の有る無しで解説します。
- パターン1:ゼロから構築する
- ステップ1. パイロットプロジェクト選定
- 最も頻繁に更新される文書を選ぶ、 または、最も重要な基幹文書から開始する。
- ステップ2. 高品質な翻訳の実施
- 通常以上に丁寧なレビュー
- 用語集を同時に整備
- TMの「種」となる重要なフェーズ
- ステップ3.TM構築完了
- 翻訳データをTM形式で保存
- 用語集と連携
- ステップ1. パイロットプロジェクト選定
- パターン2:既存翻訳からの構築(すでに翻訳済みの文書がある場合)
- ステップ1. 過去の翻訳ファイルを収集
- Word、Excel、PDF等、あらゆる形式のものを集める
- ステップ2. アライメント(Alignment)
- 専用ツールで原文と訳文を対応付けを行なう
- 人間がレビューして精度を確保する
- ステップ3.TM化
- 承認された対のみをTMに登録していく
- 過去の翻訳資産を活用できるため、初回から一定の削減効果がある
- ステップ1. 過去の翻訳ファイルを収集
5-3. 運用フェーズ
日常的な運用: 翻訳メモリを構築したあとは、①翻訳を追加→②翻訳メモリを更新、を繰り返して、データベースをメンテナンスしていきます。
- 翻訳プロジェクト開始時
- TMを翻訳者に提供
- 用語集も同時に提供
- 翻訳中
- TMが自動的に一致する文を提示
- 翻訳者は確認・微調整
- 翻訳完了後
- 新しい翻訳データをTMに追加
- TMが成長し続ける
定期メンテナンス: 翻訳メモリは、作りっぱなしにすると、データ内容が古くなります。重複の整理や古い表現を修正していくことが重要です。
- 四半期ごと
- TMの品質レビュー と、用語集の更新
- 統計データの確認(一致率、削減額等)
- 年次
- TM全体の最適化(重複削除、古いデータの整理)
- ROIの評価や、次年度の戦略策定
5-4. 成功のための重要ポイント
翻訳メモリは、戦略的な計画に基づいて構築された成果物です。次の意識をもって活用してください。
① TMの所有権を確保
重要: TMは企業の貴重な資産です。契約時に以下を明確にしましょう。
- TMの所有権は発注企業にある
- プロジェクト終了後、TMデータを受け取れる
- 他の翻訳会社でも使用できる形式(TMX等)で提供される
悪い例: 翻訳会社がTMを「人質」にし、他社への乗り換えを困難にするケースがあります。ご注意ください。
② 長期的視点を持つ
重要: TM活用は長期戦略です。
- 初回は削減効果は、限定的。(むしろTM構築コストがかかる場合も)
- 2-3回目から本格的な削減効果が出ます。
- 5年、10年で見ると莫大なリターンを得ることが可能です。
③ 品質への投資
重要: TM構築時は品質を最優先にします。理由は、以下の3点です。
- 安価な翻訳会社でTMを作ると、低品質なデータが蓄積してしまいます。
- 「ゴミを入れればゴミが出る(Garbage in, garbage out)」がデータベースの本質です。
- 初回の品質が、その後の全プロジェクトに影響していきます。
④ 組織的なコミットメント
重要: TM活用には組織的な取り組みが必要です。
- 翻訳プロセスを、チーム、部門または全社で標準化し、翻訳メモリを共通のツールとする。
- そして、各部門での翻訳データを集約する仕組みづくりが大事です。
- 用語集の組織的な管理と、整理の意識づけが大切です。
第6章:翻訳メモリの限界と対処法
「翻訳メモリ」(TM)は、対訳テキストのデータベースです。有効機能範囲と、最大有効化の方策についてご案内します。
6-1. TMが効果を発揮しにくいケース
① 比較的、クリエイティブな翻訳には、不向き
例: 広告コピー 、詩、文学作品などの散文、ブランドストーリや企業コラム
理由: 毎回、文脈や表現が大きく異なり、過去の訳を単純に再利用できないからです。
対処法: ・ TMは参考程度に使用する。・用語集のみを活用(ブランド名、製品名等)する。・クリエイティブ翻訳とTM翻訳を使い分ける。
② 極めて短い文書には、限定的効果
例: メール1通(3-4文) – SNS投稿
理由: そもそも繰り返しが少ないと、TM効果が限定的になります。
対処法: TMは気にせず、通常の翻訳として依頼 する。(ただし、定型的なメールテンプレートはTM化が有効)
③ 初回の単発プロジェクト
理由: TM構築は初回なので、削減効果は小さくなりがちです。
対処法: 将来の継続を見据えてTM構築しておく。もし、何かしら既存のTMがあればそれを先に活用する。
6-2. TMのメンテナンスの重要性
課題: TMは使い続けると、いくつかの問題が発生することが経験則ではわかっています。
① データの劣化 : ・古い訳語が残り続ける。 ・誤訳が紛れ込む。・ 重複エントリが増える。… などの可能性が増えます。
② データの肥大化 :- TMのファイルサイズが大きくなりすぎると、まれに動作が遅くなる。
- 対処法:
- 定期的なクリーニング: ・年1回、TMの全体レビューを行なう。 ・古くて不要なエントリを削除する。 ・誤訳の修正。
- バージョン管理などの区分け: ・ 製品の世代ごとにTMを分ける。(例: 「製品X ver.1用TM」「製品X ver.2用TM」など。)
- 品質ゲートを設ける: ・ TM登録前に必ず人間がレビューを行なう。 ・ 自動登録ではなく、承認制とする。
6-3. 機械翻訳との併用(MTPE)
最近の業界トレンドは、TM + 機械翻訳(MT)+ 人間のポストエディット(PE)の組み合わせです。
下のイラストは、人の翻訳と 機械翻訳(MT)とのハイブリッド・アプローチのイメージです。(一致率文章ごとの処理)

このように、翻訳メモリとのマッチ率(一致率)に応じて、翻訳を分けて処理することが最も効率的であることがわかっています。
メリット: ・TMの高品質を維持 ・MT活用で未翻訳部分も高速化 ・全体のコストと時間を最適化 などがあります。
ただし、BtoB企業にとって、専門性の高い文書では、TMを優先し、MT(機械翻訳)は補助的に使用することをおすすめします。
第7章:他社との差別化
– なぜ「翻訳+プラス」のTM管理が優れているのか
7-1. 当社のTM管理の特徴
弊社の翻訳メモリ作りには、20年以上にわたり蓄積された経験に基づく、理想的な構築ノウハウが詰め込まれています。
① 20年以上のTM管理実績
- 累計2,000案件以上のTM構築・管理
- 2005年からTM活用を開始(業界でも最初期)
- 100万文以上のTMデータベース保有
② 厳格なTM品質管理
- TMへの登録は厳格な品質ゲートを通過
- 誤訳、不自然な表現は登録しない
- 定期的なTMクリーニングを実施
③ 高度なTMコンサルティング
単なる翻訳サービスではなく、TM戦略コンサルティングを提供します。
– 貴社の翻訳資産を最適化。 ROIを最大化する運用設計と、 組織的なTM管理体制の構築を支援
④ 業界別の専門TM
- 医療機器TM
- 法律・契約TM
- IT・ソフトウェアTM
- 製造業・技術TM
各業界の専門用語、定型表現を網羅したTMを保有
⑤ 完全なTMの所有権保証
- TMの所有権は100%お客様
- プロジェクト終了後、標準形式(TMX)で提供
- 他社でも使用可能(ロックインなし)
7-2. 他社との比較
| 項目 | 翻訳+プラス | 一般的な翻訳会社 | 格安翻訳会社 |
| TM対応 | ◎ 標準装備 | ○ 対応可能 | △ 対応不可、または追加料金 |
| TM品質管理 | ◎ ISO準拠 | ○ 基本的な管理 | △ 管理なし |
| 用語集連携 | ◎ 標準装備 | ○ 対応可能 | × 非対応 |
| TM所有権 | ◎ 完全にお客様 | ○ 契約次第 | △ 会社が保持 |
| TM戦略支援 | ◎ コンサル提供 | × なし | × なし |
| 専門分野TM | ◎ 業界別保有 | △ 限定的 | × なし |
| 削減率 | 30-60% | 20-40% | 不透明 |
7-3. お客様の声
製造業P社(セキュリティ機器) > 「当初は『TM?何それ?』状態でしたが、3年間で累計800万円のコスト削減を実現。さらに、用語統一でサポートコールが激減し、間接的な効果も大きかった。今では翻訳はすべて御社にお任せしています。」
IT企業G社(SaaS) > 「以前の翻訳会社はTM管理が雑で、同じ原文でも毎回違う訳が出てきていました。御社に変更後、TMの品質が劇的に向上。ブランドメッセージの一貫性が保たれ、マーケティング効果が目に見えて改善しました。」
商社H社(貿易) > 「年間数百件の契約書翻訳で、TM活用により年間500万円以上のコスト削減。さらに、TMデータを完全に所有できるので、将来的な柔軟性も確保できました。」
まとめ:翻訳メモリで実現する「戦略的な翻訳管理」
最後にまとめますが、翻訳メモリの「資産価値」をおさらいしてみます。
翻訳メモリの5つの価値
① コスト削減 – 2回目以降、30-60%の翻訳費用削減を実現し、長期的に見ると数百万〜数千万円の削減ケースもある。
② 品質向上 – 用語の完璧な一貫性と、人間による承認済みの高品質な訳文 により、ブランドメッセージの統一が図れる。
③ スピードアップ – 翻訳時間の短縮と、市場投入までの時間も短縮され、ビジネスのアジリティが向上する。
④ 資産化 – 翻訳は「消費」ではなく「投資」。使うほど価値が増大し、「 組織知」として蓄積されます。
⑤ 競争優位性 – 効率的なグローバル展開には、多言語対応のスピードアップ と、翻訳品質の安定性が欠かせません。
BtoB企業が今すぐ始めるべきこと
「翻訳メモリ」(TM)が全くない、または管理されていない場合、「構築」と「整理」が進めば進むほど、効果の大きさを実感されることと思います。
資産の構築は早いほど試算の活用開始時期も早まり、一層効果的です。
次のステップを踏むにあたり、「翻訳メモリ」を構築、整理するのにお困りの場合は、どのようなことでも、ぜひご相談ください。

- ステップ1:現状把握(今週) – 年間の翻訳量とコストを確認 – 繰り返し翻訳する文書をリストアップ
- ステップ2:ROI試算(今月) – TM活用による削減効果を試算 – 3-5年の長期視点で評価
- ステップ3:翻訳会社との相談(今月) – 現在の翻訳会社にTM活用を相談 – または、TM管理に強い翻訳会社を探す。
- ステップ4:パイロットプロジェクト(今四半期) – 1つのプロジェクトでTM構築を開始 – 効果を測定し、本格展開を判断
最後に:翻訳メモリは「投資」です
多くの企業は翻訳を「必要悪」「余計なコスト」と考えているかもしれません。しかし、翻訳メモリを活用すれば、翻訳は戦略的な資産になります。製品やサービスのブランディングをグローバル展開するとき、多言語翻訳は避けて通れません。翻訳テキストが増大していくにつれ、主要な「用語の管理」もママならなくなりがちです。手遅れになるまえに、最初からきちんとした「翻訳メモリ」管理をお奨めします。
- 初回の投資を躊躇せず、高品質なTM構築に投資する
- 長期的視点を持ち、3-5年で評価する
- TM管理に強い翻訳パートナーを選ぶ
これらを実践すれば、翻訳はコストセンターから、ビジネスを加速させる戦略的資産に変わります。
次のステップ:無料TM診断のご案内
当社では、お客様の翻訳資産を最大化するため、無料TM診断サービスを提供しています。
当社の無料TM診断サービス
診断内容: ✅ 現在の翻訳プロセス分析 ✅TM活用による削減効果試算(具体的な金額) ✅最適なTM構築プラン提案 ✅ ROI予測(3-5年)
診断の流れ:
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費用:完全無料
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