日本を訪れる外国人観光客が目にする外国語の看板やメニュー。
ときおり、ユニークな翻訳ミスが見られます。
これらの誤訳は、文化や言語の違いから生じるもので、時には笑いを誘います。
そんな誤訳が、海外のサイトでも、「ネタ」として紹介されたりします。
いったいどのような「誤訳」が海外の人の心をつかむ(?) のでしょう。
以下に、いくつかの代表的な翻訳ミスの例と、その正しい表現とを、ご紹介します。

1. 「堺筋」→ ❌ Sakai Muscle
大阪の地下鉄「堺筋線(さかいすじせん)」を直訳して「Sakai Muscle」と表示した有名な誤訳です。
「さかい すじ」を、「さかい きん(筋)」と誤解した自動翻訳ソフトの使用が原因とされています。
「腹筋(ふっきん)」= “abdominal muscles”みたいで、鍛えられそうですね。
「筋(マッスル)」ですが、ここでは「通り」や「筋道」を指し、正しくは「Sakaisuji Line」です。
正しくは、✅ Sakaisuji Line(固有名詞なので翻訳しない。)
※「Line」は鉄道路線の意味で追加
2. 「3両目」→ ❌ 3 Eyes
同じく大阪メトロのサイトで、「3両目」(3号車)を「3 Eyes」と翻訳した例になります。
なぜか「両目」が「目 = “eye”」と誤解されてしまいました。
正しくは、✅ Car No. 3 または 3rd car
(車両は “car” または “train car” 。)
3. 「天下茶屋」→ ❌ World Teahouse
大阪の地名「天下茶屋」を直訳して「World Teahouse」とした例があります。
南海電鉄の「天下茶屋駅」なのですが、訳してしまうと、壮大なイメージですね。
「ワールド・ティーハウス」では、どこの駅なのか謎レベル… たどり着けません。
地名はそのままローマ字表記するのが一般的で、ここでは「Tengachaya Station」が適切です。
読み方もわかって、探すときに人に聞きやすくなります。
正しくは、✅ Tengachaya Station
※固有名詞(地名)はそのままローマ字で表記するのが基本
4. 「お手洗いは外にもあります」→ ❌ There is also a bathroom outside
勘違いによる直訳例です。うっかりミスと言え、実態を表していない例です。
これでは、「屋外に」トイレがあると理解される可能性があります。
つまり、以下のように解釈できます。
- 建物の 外にある屋外トイレ(例:仮設トイレ、キャンプ場のトイレ、屋外型の公衆トイレ)
- 「屋内にもトイレがあるけど、屋外にももう一つ あります」というニュアンス
この表現が不自然または誤解を招く理由 :
- 「外にも」 =「建物の外に追加でトイレがある」という文脈を英語で説明せずに、単に outside を使うと、「屋外に設置されたトイレ」と誤解されやすい。
- 特に日本では、「駅の改札の外」や「別フロア」にあるトイレを意味するが、英語ではそのような意図が 明確に伝わらない。
✅ より適切な表現例(文脈によって変える)
文脈 | 自然な英語訳 |
---|---|
改札の外にトイレがある | There is also a restroom outside the ticket gate. |
建物の外にトイレがある | There is a restroom outside the building. |
別の場所にもトイレがある | You can also find a restroom outside.(+補足必要) |
他の場所にもある(広く案内) | Additional restrooms are available outside. |
📝補足
日本語の「外にもあります」は、案内やマナー表記としてとてもよく使われます。
しかし、英語をはじめとする海外言語では「どこの外か?」「どこにあるのか?」がはっきりしないと意味が曖昧になる傾向があります。
5. 「関係者以外立ち入り禁止」→ ❌ Concerned except for the people, prohibition of admittance
「関係者以外立ち入り禁止」を直訳し、意味が伝わりにくくなっています。
むりやり日本語にすると、「国民以外を気にかけて、入場禁止」、です。
これでは意味がわからないため、英語では「Authorized Personnel Only」と簡潔に表現します。
正しくは、✅ Authorized personnel only (「関係者のみ」)
または、No entry except authorized staff
6. 「トイレを綺麗にご使用下さい」→ ❌ Please use a toilet finely
「きれい」を、“fine”(ファイン)としたかったのでしょう。意味が通らなくなっています。
むりやり日本語にすると、「トイレは細かくしてお使いください。」、、です。
これは、斬新な表現が生まれたと思います。ポエムのようです。
正しくは、✅ Please keep the toilet clean
または、Please use the toilet in a clean manner
7. 「エルモに向かって手をたたこう!」→ ❌ Rocking Elmo: Crap your hands!!
“Rocking Elmo“は、幼児向けの、動くぬいぐるみ玩具です。
これは、ぬいぐるみのパッケージ箱に書かれていたキャッチコピーになります。
これは、初歩的なスペルミス(綴り違い)で、とんでもない意味になってしまった例です。
“Crap“にしてしまうと、「くそ!!」、「くだらん!!」、です。
※「エルモ」は、テレビ番組「セサミストリート」に登場するマペットキャラクター。
いつも明るくポジティブで、好奇心旺盛な3歳半のモンスター。
思わずみんながつられてしまう、お茶目で可愛い笑い声が特徴です。
(「公式サイト」より抜粋)
正しくは、✅ Clap your hands for Elmo!
8. 「このトイレでは、ティッシュを常備しておりません。ご使用になる方は、お買い求めください。」
→ ❌ Because I do not have a tissue always ready in this restroom, please buy used one.
どうしたらそうなるのか、意味不明な文の例。
「このトイレにはティッシュが常備されていないので、使用済みのティッシュを買ってください。」
わざわざお金を出して使用済を買う人などいません。。
正しくは、✅ Tissues are not provided in this restroom.
Please purchase some if needed.
まとめ
いかがでしたでしょうか。
実は、海外で「ネタ」として紹介されている「誤訳」はまだまだたくさんあるのですが、日本人として恥ずかしくなりますので、今回はこれまでとします。
また、変わりダネをみつけたらぜひ、何度か記事にまとめてみたいと思います。
誤訳をしないように、私どもは細心の注意をはらって翻訳しているのですが、世の中には意外と誤訳があふれています。
AI翻訳は便利ですが、かならずプロの翻訳者なりがチェックしないと、とんでもない訳が世に出回ることになります。
海外のサイトでネタとして笑われないよう、翻訳またはAI翻訳のチェックは「翻訳+ブラス」にぜひご相談ください。