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トランプ関税が日本の翻訳会社に与える影響

2025年の4月5日と9日(※)、アメリカのトランプ大統領の「相互関税」政策が発動しました。

(※)ちなみに9日追加分については、翌10日に90日間の延期措置

この相互関税政策は、今後の世界中の貿易構造に大きな影響を与えることが予想されています。

一期目におけるいわゆる「トランプ関税」でも、2018年以降、その影響はずっと続いています。

そのときも鉄鋼やアルミニウム、さらには中国製品に対する追加関税などが話題となりました。

そして、その波紋は製造業だけでなく、実は翻訳業界にも及んでいます。

特に日本の翻訳会社にとって、この政策はどのような意味を持ったのでしょうか。

本記事ではその影響を整理してみたいと思います。

1. 貿易摩擦と翻訳需要の関係

関税の引き上げは、企業間の貿易活動に直接的なコスト増をもたらします。

日本とアメリカの間でビジネスを行う企業は、通商協定の見直しや輸出入ルートの変更を迫られます。

そして、そのたびに契約書・技術仕様書・通関書類などの翻訳が必要になるのです。

例: 新たなサプライヤーとの契約に伴う英訳依頼

例: 米国向け製品パッケージやラベルの再翻訳

このように、政策変更は翻訳の緊急性・専門性を高める要因となり、部分的にはビジネスチャンスをもたらしました。

2. 製造業向け技術翻訳のニーズ拡大

トランプ関税により、日系メーカーは一部の生産をアジアや中南米へシフトする動きも見せました。

この際、現地法人や現地工場とのコミュニケーションのために多言語翻訳(※)のニーズが増加。

※(スペイン語、ポルトガル語、ベトナム語など)

技術マニュアル、工程指示書、研修資料などの多言語展開をサポートできる翻訳会社には、継続的な依頼が重なりました。

3. 法務・規制対応翻訳の需要増

トランプ政権下では、輸出管理規制(例:エンティティリスト、禁輸措置など)も強化されました。

特に中国企業との取引に関しては、厳しい審査や書類対応が必要となりました。

そして、それに付随する法務文書規制資料の翻訳需要が増加したのです。

翻訳会社には、高精度な法務翻訳やコンプライアンスに対応したチェック体制が求められるようになりました。

4. コスト増と価格競争への影響

一方で、関税によるコスト増は、翻訳業界に価格競争の激化という形でも影響を与えました。

国内企業のコスト削減要請や翻訳予算の見直しで、安価な翻訳サービスやAI翻訳の導入が進みました。

これにより、翻訳会社は以下のような戦略の見直しを迫られたのです。

①: 人手翻訳とAI翻訳のハイブリッド提供

②: 分野特化型サービスによる付加価値の提案

③: 翻訳メモリや用語集を活用した生産性向上

5. 今後の見通しと対応策

2025年現在、トランプ氏が再び注目を集めており、アメリカの通商政策が再び大きく変動する可能性もあります。

これまでの変遷をかんがみると、翻訳会社としては、次のような準備が求められます。

①: 貿易・通商分野の知見を持つ翻訳者の育成

②: 対象言語・多分野に対応した柔軟な体制の整備

③: 政策動向を見据えたマーケティング施策の強化

まとめ

「トランプ関税」は一見、翻訳業界とは無関係のように見えます。

しかし、実際には貿易の変化や法規制の強化を通じて、日本の翻訳会社に多方面から影響を与えました。

このような国際的な政策変動に即応できる体制づくりこそが、今後の翻訳業界のカギとなるでしょう。

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それでは、アメリカと中国との貿易額を以下にまとめておきます。

(参考資料)

2023年の米中間の貿易額は以下の通りです。

これにより、アメリカは3,534億ドルの貿易赤字となっています。​

主要な輸出品目

これらの数字から、アメリカの対中輸出額は対中輸入額の約3分の1であることがわかります。

つまり現状は、アメリカは中国との貿易で大きな赤字を抱えていることになります。

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