
否定せず、理解して、賢く使い分ける——プロが教えるAI翻訳活用の本質
「AI翻訳の精度がどんどん上がっているけど、プロの翻訳者はまだ必要なの?」「DeepLやGoogle翻訳で十分じゃないの?」「でも、ビジネスで使うにはやっぱり不安…」
——こうした疑問や不安を抱いていませんか?
結論から言います:AI翻訳は「万能」ではありませんが、「使えない」わけでもありません。
重要なのは、AI翻訳と人間の翻訳の違いを正しく理解し、目的に応じて適切に使い分けることです。しかしながら、AI翻訳だけですべてが解決する時代は、まだ来ていません。
この記事では、翻訳業界20年超えのプロフェッショナルが、AI翻訳の現実的な強みと限界、人間の翻訳が必要な理由、そして両者を賢く使い分ける実践的な方法を、バイアスなく解説します。
従って、この記事を読めば、以下の成果が見込めます。ぜひ、目を通していただけますと幸いです。
- – AI翻訳と人間翻訳の本質的な違いが理解できる
- – AI翻訳の「できること」「できないこと」が明確になる
- – 自社のニーズに合った使い分け方が分かる
- – AI翻訳 + 人間のチェック(ポストエディット)の効果的な活用法が分かる
- – コストと品質のバランスを最適化できる
第1章:AI翻訳の進化と現在地
それでは、年代を追って「AI翻訳のクオリティと現状」について解説してみたいと思います。
1-1. AI翻訳の劇的な進化
① 2010年代初頭:統計的機械翻訳(SMT)の時代
意味不明、実用性が低い例:このころは、以下のような直訳調レベルでした。
原文: “The spirit is willing but the flesh is weak.”
初期のAI翻訳: “精神は喜んでいるが、肉は弱い。
② 2016年以降:ニューラル機械翻訳(NMT)の登場
かなり自然で意味も通じる例:Google、DeepL等がニューラルネットワークを採用し、翻訳精度が劇的に向上しました。
原文: “The spirit is willing but the flesh is weak.”
現在のAI翻訳: “精神は前向きだが、肉体が弱い。”
③ 2023年以降:大規模言語モデル(LLM)の時代
自然で、ニュアンスも的確な例:ChatGPT、Gemini、Claude等のLLMは、文脈理解力がさらに向上を果たしました。
原文: “The spirit is willing but the flesh is weak.”
LLMベースの翻訳: “やる気はあるが、体力が追いつかない。”
重要なポイント: とくにLLMの進化は目覚ましく、「AI翻訳は使えない」という時代は完全に終わりました。
1-2. 主要なAI翻訳サービスの特徴
年代順にみていただいたあとは、AI(翻訳)の種類の主なものをまとめてみます。
AI翻訳の種類と特徴
| サービス | 特徴 | 強み | 料金 |
| DeepL | 欧州発、自然な訳文 | ヨーロッパ言語、文学的表現 | 無料版あり、Pro版月額1,000円〜 |
| Google翻訳 | 100言語以上対応 | 対応言語数、音声翻訳 | 無料 |
| みらい翻訳 | 日本企業、ビジネス特化 | 日本語の自然さ、専門用語 | 有料(企業向け) |
| ChatGPT/Claude | LLMベース、文脈理解 | 長文、専門的な説明 | 無料版あり、有料版月額2,000円〜 |
2026年時点で、AI翻訳の基本性能は非常に高く、多くのあらゆる用途で、実用化されています。(自動通訳・翻訳機など)
1-3. AI翻訳が得意なこと
なかでもAI翻訳は、以下の場面で非常に高いパフォーマンスを発揮するようになりました。
① 定型的な文章
例: 「お問い合わせありがとうございます。」
→ “Thank you for your inquiry.”
このような定型の言い回しにおいてAI翻訳は、ほぼ完璧に訳出してくれます。
② 技術的な文書(頻出表現など)
例: 「ボタンをクリックしてください。」
→ “Please click the button.”
ある特定の分野で頻出する表現も、①の「定型」と同様に、問題ないクオリティです。
③ 大量の文書を短時間で処理
人間なら数日かかる翻訳を数分で完了し、時間換算でのコストは人間の1/10〜1/100とも言えます。
④ 情報収集・内容把握
たとえば、「海外の記事を急いで読みたい」という要望でも、AI翻訳で大意を把握するだけで十分な場合があります。
(この場合、細かいニュアンスは気にしないのが普通です。)
⑤ 社内資料(完璧でなくても良い)
社内向けの参考資料、議事録の参考訳、情報共有が目的なども字義訳や細かいニュアンスは必要ありません。
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これらの用途(①から⑤)では、AI翻訳は非常にコストパフォーマンスが高く、積極的に活用すべきと現在では考えられています。
第2章:AI翻訳の限界
——現実的に「できないこと」
ここからは本ブログ記事の要所です。AI翻訳を軽視するのではなく、現実的な限界を理解することが賢い使い分けの第一歩となります。
2-1. 文脈の深い理解が必要な文章
AIによる翻訳は、条件付与されたデータ範囲を超えるような内容を、現状の翻訳と関連する文脈として、自律的に紐づけることはできないはずです。
「人」にたとえていうならば、「知らないことは知らない」もしくは「正しく言えない」のです。以下に、2つの例を挙げてみます。
例1:多義語の判断
AI翻訳は、前後の文脈が明確でないと、適切な意味を選べないことがあります。
例: “The bank is closed.”
→ 【文脈A:金融の話】
AI翻訳: “銀行は閉まっています。” ✓ 正解
例: “The bank is closed.”
→ 【文脈B:川の話】
AI翻訳: “銀行は閉まっています。” × 誤り
正解: “川岸は閉鎖されています。“
文脈の判断がAI単独ではつきにくい例を、もうひとつ挙げてみます。
例2:代名詞の参照
原文: “The company launched a new product. It was well received.”
→ AI翻訳: “会社は新製品を発売した。それは好評だった。” → 「それ」の指しているのが「製品」か「会社」か曖昧
→ 人間の翻訳: “会社は新製品を発売した。この製品は好評を得た。” → 「それ」の指しているのが明確
現実的な影響: たとえば、契約書、法律文書において、代名詞の参照ミスは致命的です。
また、技術文書においても、「それ」が何を指すか不明確だと誤解を招く可能性が高いと言えるでしょう。
2-2. 専門用語・業界特有の表現
つぎに、専門分野別に、AI翻訳の苦手なものを見ていきます。
例:医療分野
原文: “The patient presented with acute onset of dyspnea.”
AI翻訳 (一般的な訳): 「患者は、呼吸困難の急性発症を呈した。」
→ 文法的には正しいが、現実の医療現場では”不自然な”言い回し。 presented withのニュアンスのとらえ方に問題がある。
医療翻訳者: “患者は急性の呼吸困難を訴えた。“ → 医療現場で使われる自然な表現です。
例:法律分野
原文: “Force majeure”(原語は、仏語: フォース・マジュール)
→ AI翻訳: “不可抗力” → 正しいが、契約書では「不可抗力条項」「天災地変等」と文脈に応じて使い分ける必要あり
専門分野の課題: AI翻訳は一般的な訳語を選ぶ傾向があり、業界慣習や、企業固有の用語には対応できない。
そのため、専門分野であるほど、その道の専門家による確認が必須となってきます。
2-3. 文化的ニュアンス・暗喩・ユーモア
これにはいくつかありますが、まず、AIが得意とする定型ではあるが、「慣用句」が逆に限界となる場合があります。
例1:慣用句
原文(英語の例) : “It’s raining cats and dogs.”
→ “猫と犬が降っている。” (× 直訳 ?で、意味も不明)
正解: “土砂降りだ。”
例2:文化的な背景知識
原文(日本語の例): “彼は空気を読めない人だ。“
→ AI翻訳: ”He is a person who cannot read the air.” × 英語圏では意味不明
正解: “He lacks social awareness.” または “He doesn’t pick up on social cues.”
例3:ユーモア、皮肉
また、「ユーモア」や「皮肉」も字義通りに翻訳してしまうと、意味が通らないのが通常です。
原文(英語の例): “Oh great, another meeting. Just what I needed.“
→ AI翻訳: ”素晴らしい、また会議だ。まさに私が必要としていたものだ。” × 皮肉が伝わらない
正解: “またミーティングか。勘弁してほしいな。”
現実的な影響:マーケティング資料の場合は、ブランドイメージに直結しています。とくに顧客向けコミュニケーションでは、誤解や不快感を与える恐れもあります。
2-4. クリエイティブな表現・ブランドメッセージ
2-3の、「ユーモア・皮肉」と同様に「広告文」のようなクリエイティブ性の高いものも、字義通りの翻訳では伝わらないと考えられています。
例:広告コピー
また、「ユーモア」や「皮肉」も字義通りに翻訳してしまうと、意味が通らないのが通常です。
原文(日本語の例): “あなたの毎日に、小さな幸せを。“
→ AI翻訳: ”Small happiness to your everyday.” × 不自然
プロの翻訳: “A little joy in every day.” ✓ 自然でブランドイメージに合う
AI翻訳は「正確さ」を優先し、「感情」「ブランドトーン」「リズム感」は再現できません。
適さない用途: – 広告コピー のほかにブランドストーリー 、プレスリリース(企業のトーンが重要)、SNS投稿(親しみやすさが必要)なども該当します。
2-5. 法的責任が伴う文書
AI自体は、翻訳したテキスト内容の正否につき、責任を負いません。責任を負うのはそれを採用した人の側にあります。
そのため、ニュアンスの取違えは、重大な責任問題につながるおそれがあります。
契約書、利用規約、プライバシーポリシー等:
以下の場合などは、AI翻訳の誤訳が法的紛争につながるリスクがあります。
原文(英語の例): “shall“と”may“の違い
– shall: 義務(〜しなければならない)
– may: 許可・可能性(〜してもよい、〜かもしれない)
AI翻訳は、この法的な違いを完全に理解していないことがあります。人のチェックが必要になるものの一つです。
医薬品・医療機器の文書:
契約書と同様に医療関連の文書も、解釈が厳密です。しかしこちらは、誤訳が人命に関わる可能性があります。
現実的な判断として、法的責任、安全性が関わる文書は、必ず人間の翻訳者(可能であれば専門家)がチェックすべきです。
2-6. 企業固有の用語・スタイルガイド
AI翻訳は、とくに汎用的なAIツールほど、企業ごとのスタイルガイドや用語統一には対応できません。
それらのものは通常は、企業独自の固有なものだからです。
例: ある企業では「Submit button」を「送信ボタン」と訳すと決めているが、
AI翻訳は時に「提出ボタン」「サブミットボタン」と訳してしまう
→ 【用語の不統一】により、読みにくくわかりにくい文書となる。
解決策: 人間が「用語集」を作成・管理し、「 AI翻訳」に加えて常に(人間の)「ポストエディット」(校正)で用語を統一する。
第3章:人間の翻訳者の「AI翻訳にない」強み、とは?
前章までのAI翻訳の特性を理解した上で、今度は人間の翻訳者の独自の価値を理解すると、両者をうまく組み合わせることが可能になります。
3-1. 深い文脈理解と判断力
人間の翻訳者は、文書全体の流れを理解し、書き手の意図を推測することが可能です。 読者(ターゲット)を想定して訳を調整することもできます。
例: 技術マニュアルの「警告」セクション
原文: “Do not touch the exposed wires.“
AI翻訳: “露出したワイヤーに触れないでください。”
→ 文法的に正しいが、やや平板。
人間の翻訳: “【警告】むき出しの配線には絶対に触れないでください。感電の恐れがあります。“
→ 警告の重要性を強調し、理由も補足することが可能。
3-2. 文化・慣習への適応
ローカライゼーション(文化適応)
「ローカライゼーション(またはローカライズ)」とは、翻訳の「現地化」です。単なる翻訳ではなく、現地の文化・慣習に合わせた表現に変えることを表します。
たとえば、「翻訳は合っているけど、私たちはそういう言い方はしない」といったものが出てきます。
“Break a leg!” は、AIでも「頑張ってね。」という日本語に変えますが、第一章の1-1にある統計的機械翻訳(SMT)の時代は、「足を折れ!」でした。
日本語には、このような言い方はありません。日本語らしい表現に調整する必要があります。
例: 日本の製品を米国市場に展開
原文: “おもてなしの心“
AI翻訳: “The spirit of hospitality”
→ 意味は通じるが、米国市場では気持ちに響かない。
ローカライゼーション: “Exceptional customer care“
→ 米国のビジネス慣習の中でよく見かける表現に合わせる、ことが大切。
人間の翻訳者は、対象国の文化、価値観を理解し、現地で受け入れられる表現に調整します。また、タブー、誤解を避ける配慮を自律的に行うことが可能です。
3-3. 品質保証とアカウンタビリティ
翻訳における「責任の所在」と「品質保証」は大変、重要です。以下の比較をご覧ください。
- 人間の翻訳者・翻訳会社:翻訳の品質に責任を持つ。 誤訳があれば修正・補償、またクライアントの要望に応じてカスタマイズを行なう。
- AI翻訳: – 「こう訳しました」という結果のみで、責任は使用者(あなた)が負うことになり、「誤訳」があっても補償はされません。
ビジネスで使う場合は、とくに品質保証とアカウンタビリティは極めて重要です。ご注意ください。
3-4. 専門知識と経験
人間の翻訳者(特に専門翻訳者)は、医学、法律、工学等の専門知識を持ち、業界での実務経験があったり、最新のトレンド、専門用語の変化を把握できたりします。
例:医療翻訳者
資格: 医学部卒、または看護師・薬剤師等の資格保有
医療現場で使われる表現を熟知、または 最新の治療法、薬剤名を把握している。
AI翻訳には、こうした「生きた専門知識」はありません。また正規に資格を取得することもなく、たとえ望んだとしても、現状では不可能です。
3-5. クリエイティビティと感性
それから、人間の翻訳者は美しい表現を追求し、ブランドのトーン&マナーを維持します。製品サービスの「良さ」や「美しさ」を感性で理解し、読者の感情に訴える訳を作ろうとします。
いっぽうAIは、この「審美眼」を持ち合わせているかのように疑似的に思わせているだけです。
例: 高級ブランドのキャッチコピー
原文(英語の場合): “Timeless elegance.“
AI翻訳: “時代を超えたエレガンス”
→ 悪くないが、平凡すぎる。
クリエイティブ翻訳: “永遠の気品。“
→ 表現が「短く、洗練され、高級感」が出ている。
従って、マーケティング、広告、ブランディングでは、人間のクリエイティビティが不可欠と考えられています。
第4章:AI翻訳 + 人間のポストエディット【MTPE】という現実解
第4章は、重要なセクションです。3章までにみたAI翻訳と人間の特性を対立させるのではなく、協力させる——これが現代の翻訳の最適解です。
4-1. ポストエディット(PE)とは
「ポスト」とは、「あとで」の意味になります。直訳すると「あとから編集」です。
※ MTPE(Machine Translation Post-Editing): AI翻訳(機械翻訳)の出力を、人間が編集・修正するプロセス。
①【現代のプロセス】:組み合わせ方式
原文 → AI翻訳 → 人間がチェック・修正 → 完成
②【AI利用前のプロセス】:
原文 → 人間が翻訳 → 人間がチェック → 完成
③【AIのみのプロセス】:
原文 → AI翻訳(数秒/分) → 人間が修正(時間短縮) → 完成
ちなみに、「翻訳+プラス」では、「まえから編集」も行っています。「事前に」の意味で、「プレエディット(Pre-Editing)」と呼ばれます。
翻訳を行いやすいように原稿を整理するのが「プレエディット」で、翻訳を見直して修正するのが、「ポストエディット」となります。
いずれにしても、人が介在して確認することで、AI翻訳内に潜むエラーがつぶされて精度が上がり、複数の言語間の繊細な意味内容の違いも伝わりやすくなります。
メリット: AI翻訳のスピードを活用しつつ、人間の品質管理を組み合わせることでコストと時間を削減。また、品質を確保することが可能となるのです。
4-2. ポストエディットの2つのレベル
ポストエディットに投下できる「時間・コスト」に応じて、その具体的な方法を2つにわけることができます。
① ライトポストエディット(Light PE)
目的: 大意が通じればOK、細かい表現は気にしない
作業内容: – 明らかな誤訳を修正 – 意味が通じない箇所を修正 – 文法ミスの修正
適している用途: – 社内資料 – 情報収集用の翻訳 – 大量の文書を低コストで処理
コスト: 人間翻訳のおよそ、30-50%
② フルポストエディット(Full PE)
目的: 人間が翻訳したのと同等の品質
作業内容: – ライトPEの内容 + 以下 – 自然さ、読みやすさの向上 – 用語の統一 – スタイルガイドへの準拠 – 文化的適応
適している用途: – 顧客向け文書 – ウェブサイト、マーケティング資料 – 製品マニュアル(外部公開) – 専門性が高いが定型的な文書
→ 翻訳者は両方を参照し、迅速かつ正確に翻訳
コスト: 人間翻訳の60-80%
比較表:以下に比較をまとめます
| 項目 | 人間翻訳 | フルPE | ライトPE | AI翻訳のみ |
| 品質 | 最高 | 高い | 中程度 | 不安定 |
| コスト | 100% | 60-80% | 30-50% | 5-10% |
| スピード | 標準 | 速い | 非常に速い | 最速 |
| 用途 | 重要文書 | 外部公開文書 | 社内資料 | 情報収集 |
まとめ:社外に公開する文書には、「フルPE」が最もコスパが良いと考えられています。
4-3. ポストエディットが効果的な文書
つぎに、どのような特徴のものがポストエディット向きなのか列挙します。ここでは、4点をご紹介します。
① 技術マニュアル・取扱説明書
理由: – 理由は、以下の3つです。1. 定型表現が多い(AI翻訳が得意) 2. 専門用語は人間が統一 3. 繰り返しが多い
効果: – コスト30-40%削減が可能 、納期の大幅短縮、品質は人間翻訳と同等
- 実例:製造業F社
従来(人間翻訳のみ):
– 製品マニュアル(80,000ワード)
– 費用: 2,400,000円
– 納期: 30日
⇒
MTPE導入後:
– AI翻訳 + フルPE
– 費用: 1,680,000円(30%削減)
– 納期: 18日
– 品質: 従来と同等
② ウェブサイト・ECサイト
理由: 理由は、以下の3つです。1. 製品説明、FAQ等は定型的 2.ナビゲーション、ボタンは繰り返し 3. 大量のページを短期間で処理したい
適用方法: 定型部分とその他で、以下のように、適用する方法が異なっています。
- 定型部分: AI翻訳 + ライトPE、 2. マーケティングコピー: 人間翻訳、 3. 製品説明: AI翻訳 + フルPE
- 実例:ECサイトG社
商品数: 5,000点(各商品説明200ワード)
従来(人間翻訳):
– 費用: 約2,500万円
– 納期: 6ヶ月
⇒
MTPE導入後:
– AI翻訳 + ライトPE(商品説明)
– 人間翻訳(トップページ、重要コピー)
– 費用: 約1,200万円(52%削減)
– 納期: 2ヶ月
③ 社内文書・議事録
理由: 理由は、以下の3つです。1. 完璧な品質は不要 2. 情報共有が目的 3. 大量・頻繁に発生
適用方法: AI翻訳 + ライトPE、またはAI翻訳のみ
効果: ライトPEで十分な印象です。しかし、即座にAI翻訳が可能なところから、 コスト80-90%削減が見込めます。
④ ニュース記事・ブログ(情報収集用)
理由: 内容把握が目的であり、細かい表現は重要でないことからライトPE向きです。
適用方法: – AI翻訳のみ、またはライトPE
4-4. 「AI+ポストエディット」が不向きな文書
第2章の補足となりますが、AI翻訳向きで無い分野の文書は、「ポストエディット」と組み合わせても効率が上がらないことがわかっています。
とくに以下の文書は、AI翻訳ベースでは品質確保が困難です。人間翻訳を推奨します。
① 契約書・法律文書
理由: 1語の誤訳が法的紛争につながる。前掲の、 “shall” と “may” の違い等、法的ニュアンスが重要なため、責任の所在が明確でなければならない。
ベストな判断組み合わせ: 人間翻訳 + 弁護士レビュー
② 医薬品・医療機器の規制文書
理由: 1. 誤訳が人命に関わる。 2. 規制当局(PMDA、FDA等)への提出がある。 3. 専門家による厳格なチェックが必須である。
ベストな判断組み合わせ: 人間翻訳(医療専門翻訳者) + 専門家レビュー
③ 広告コピー・ブランドメッセージ
理由: 1. クリエイティビティが必要。 2. ブランドイメージに直結。 3. 文化的ニュアンスが重要。
ベストな判断: すべて人間による翻訳(コピーライター、またはトランスクリエーター)
④ 文学作品・詩・歌詞
理由: 芸術性、感性が重要となり、特に「 韻、リズム、暗喩等」はAI翻訳では再現不可能
ベストな判断: すべて人間による翻訳(文芸翻訳者)
第5章:AI翻訳を賢く使い分けるための実践ガイド
以下の自己問答を行なうことで、AI翻訳か、または人の翻訳かを判断します。
- 【質問1】この文書は誰が読むか?
- 社内のみ → 【質問2へ】
- 顧客・外部 → 【質問3へ】
- 【質問2】完璧な品質が必要か?
- いいえ(情報共有が目的) → AI翻訳のみ、またはライトPE
- はい → 【質問3へ】
- 【質問3】法的責任・安全性が関わるか?
- はい(契約書、医薬品等) → 人間翻訳 + 専門家レビュー
- いいえ → 【質問4へ】
- 【質問4】クリエイティブな表現が必要か?
- はい(広告、ブランディング) → 人間翻訳
- いいえ → 【質問5へ】
- 【質問5】定型的な内容か?
- はい(マニュアル、製品説明等) → AI翻訳 + フルPE
- いいえ → 人間翻訳
5-1. 使い分けフローチャート
「AI翻訳」を導入するにあたってどのように判断すれば、効果的で事故のおきない導入が実現できるか、このフローチャートをヒントにしてみてください。。

5つの質問に答えることで、最適な翻訳方法(AI翻訳のみ、AI+ポストエディット、人間翻訳)を判断できます。
5-2. 文書タイプ別の推奨アプローチ
| 文書タイプ | 推奨アプローチ | 理由 |
| 契約書 | 人間翻訳 + 弁護士レビュー | 法的責任 |
| 医薬品文書 | 人間翻訳 + 専門家レビュー | 安全性 |
| 製品マニュアル | AI翻訳 + フルPE | 定型的、コスト削減 |
| ウェブサイト(製品説明) | AI翻訳 + フルPE | 定型的、大量 |
| ウェブサイト(トップページ) | 人間翻訳 | ブランドイメージ |
| 広告コピー | 人間翻訳(コピーライター) | クリエイティビティ |
| 技術仕様書 | AI翻訳 + フルPE | 専門的だが定型的 |
| 社内メール | AI翻訳のみ、またはライトPE | 情報共有のみ |
| ニュース記事(参考) | AI翻訳のみ | 情報把握のみ |
| プレスリリース | 人間翻訳 | 企業イメージ |
| 取扱説明書(B2C) | AI翻訳 + フルPE | 安全性に配慮しつつコスト削減 |
| 学術論文 | 人間翻訳 | 正確性、専門性 |
| SNS投稿 | ケースバイケース | 短文は人間、定型投稿はAI可 |
上図のオレンジの色をつけたものは、初めから「人の翻訳」を選択すると、効率的で品質も良く仕上がるのが通常です。
5-3. AI翻訳を使う際の注意点
前掲の表にしたがって、「AI翻訳」を選択する場合でも、注意しなければならない点があります。
①そのまま使わない
AI翻訳の出力を無修正で公開・提出するのは危険です。
最低限のチェック: – 誤訳がないか、意味が通じるか、不適切な表現がないか、などを確認することが必須です。
② 専門用語を事前登録
DeepL Pro、みらい翻訳等は、用語集機能があります。
活用方法: – たとえば「企業固有の製品名・サービス名」を登録したり、業界用語の訳語を統一して使うと、AI翻訳の精度がさらに向上します。
③ 文章を短く、シンプルに
AI翻訳は、短くシンプルな文の方が、品質の精度が高い。
悪い例(長く複雑): → AI翻訳が混乱しやすい
例:「当社は、お客様に最高のサービスを提供するため、日々技術革新に取り組み、品質向上に努めており、その結果として業界でもトップクラスの評価を得ています。」
良い例(短く分割):→ AI翻訳しやすい
例:「当社は日々技術革新に取り組んでいます。品質向上に努めています。その結果、業界でトップクラスの評価を得ています。」
④ 機密情報に注意
無料のAI翻訳サービス(Google翻訳等)は、入力データを「学習」される可能性があります。
対策:以下のように、セキュリティ対策※を講じる必要があります。
※機密文書は有料版を使用(DeepL Pro等)する、または社内向けAI翻訳ツールを導入する。契約書、技術情報等は翻訳会社に正規に依頼する。
⑤ 品質にばらつきがあることを理解
AI翻訳は、同じ原文でも訳にばらつきが出ることがあります。
対策:重要な文書は人間がチェック – または、複数回翻訳して比較を行う。
第6章:当社のAI翻訳活用アプローチ——軽視せず、賢く組み合わせる
AI翻訳の精度は第1章に記載の通り、目覚ましい進化を遂げました。
たとえ完全ではなくとも、決してAI翻訳を軽視せず、お客様の役に立つよう、上手に活用することを基本スタンスとしています。
6-1. 当社の基本方針
私たちは、AI翻訳を度外視せず、「支援ツール」と見做して活用します。
理由: AI翻訳の精度は確実に進化しています。特に大量文書の翻訳コスト削減には、AI翻訳と人間の協力が最適解です。
当社のAI翻訳に対するスタンス:
- AI翻訳の強みを認める — 定型文書、スピード、コストで優位
- AI翻訳の限界を理解 — 文脈、クリエイティビティ、責任
- 最適な組み合わせを提案 — プロジェクトごとに最適解を設計
6-2. 当社が提供するMTPEサービス
弊社は、AI翻訳に丸投げしてノーチェックで納品することは絶対しません。
以下の通り、かならずディレクターまたは人のチェック・校正を入れ、最終的には人が品質責任を負うことができよう、態勢を整えています。
① AI翻訳 + ライトPE :
対象: – 社内資料 – 大量の情報文書 – 情報把握が目的
【プロセス】:
AI翻訳(DeepL、みらい翻訳等)
↓
当社の翻訳者がライトPE(誤訳修正、意味不明箇所の修正)
↓
納品
費用: 人間翻訳の30-40% 品質: 大意が通じるレベル
② AI翻訳 + フルPE :
対象: – 製品マニュアル – ウェブサイト – 技術文書(外部公開)
【プロセス】:
AI翻訳
↓
当社の翻訳者がフルPE(誤訳修正、自然さ向上、用語統一、スタイル調整)
↓
品質チェック(別の翻訳者)
↓
納品
費用: 人間翻訳の60-70% 品質: 人間翻訳と同等
※最近の傾向としては、翻訳メモリ(TM) + 機械翻訳(MT)+ 人間のポストエディット(PE)の組み合わせが最も多くなっています。
③ 人間翻訳(AI翻訳不使用)
対象: – 契約書、法律文書 – 医薬品・医療機器文書 – 広告コピー、ブランドメッセージ – 高度に専門的な文書
【プロセス】:
専門翻訳者が翻訳
↓
別の翻訳者が校正
↓
ネイティブチェック(必要に応じて)
↓
専門家レビュー(必要に応じて)
↓
納品
費用: 標準料金 品質: 最高品質
上記の①②③いずれのプロセスも、お任せいただけます。対象を見極め、最適なプロセスをご提案してまいります。
6-3. お客様ごとのカスタマイズ
また当社は、クライアント様の状況に応じて最適なアプローチを、提案しております。以下に各ケースをご紹介します。
ケース1:製造業H社(製品マニュアルの多言語展開)
課題: – 年4回の製品リリース、毎回5言語に翻訳 – 従来の人間翻訳では納期とコストが厳しい
提案: – 定型部分(操作手順等): AI翻訳 + フルPE – 安全警告、重要な注意事項: 人間翻訳 – 用語集を整備し、AI翻訳の精度を向上
結果: – コスト40%削減 – 納期50%短縮 – 品質は従来と同等
ケース2:IT企業I社(ウェブサイトの頻繁な更新)
課題: – 週次でブログ記事を多言語公開 – 従来の翻訳では追いつかない
提案: – ブログ記事(情報提供が目的): AI翻訳 + ライトPE – トップページ、製品ページ: 人間翻訳 – プレスリリース: 人間翻訳
結果: – 更新スピード大幅向上 – コスト60%削減 – 重要ページは高品質を維持
ケース3:商社J社(契約書翻訳)
課題: – 年間100件以上の契約書翻訳 – 法的な正確性が絶対条件
提案: – すべて人間翻訳(AI翻訳は使用しない) – 法律専門の翻訳者が担当 – 必要に応じて弁護士レビュー – 翻訳メモリで2回目以降のコスト削減
結果: – 法的リスクゼロ – 翻訳メモリ活用で年間250万円削減 – AI翻訳に頼らず、品質とコストを両立
いかがでしょう。御社の事情に合わせた「翻訳ソリューション」をご提供させていただきますので、何なりとご相談ください。

6-4. 他社との差別化——「AI翻訳を正しく使う力」
現在、多くの翻訳会社が抱えている問題点がいくつかあります。
多くの翻訳会社の問題点:
① AI翻訳を全否定 – 「AIは使えない」と主張して、お客様のコスト削減ニーズに応えられない。
② AI翻訳に丸投げ – AI翻訳の出力をそのまま納品 – 品質管理が甘くなり、お客様が品質に不満がある。
当社の差別化:これらの問題点に関して、弊社では以下のように対応しています。
- ✅AI翻訳を正しく評価 – 強みと限界を理解 – 使える場面では積極的に活用
- ✅ 人間の価値を明確化 – AI翻訳では対応できない領域を明示 – 人間翻訳の品質を保証
- ✅ 最適な組み合わせを提案 – プロジェクトごとにベストミックス – コストと品質のバランスを最適化
- ✅ 透明性のある説明 – 「この部分はAI翻訳+PE、この部分は人間翻訳」を明示 – クライアントが納得して選択できる
第7章:AI翻訳の未来と、人間の翻訳者の役割
7-1. AI翻訳は今後さらに進化する
これまで発展してきた「AI翻訳」ですが、今後もさらに進化を続け、社会の重要なインフラの一つとなっていくことが予想されます。
2025年以降の予測:
① 大規模言語モデル(LLM)の更なる進化 – ChatGPT、Claude等がさらに高精度になり、文脈理解力が向上。専門分野への対応も改善されていく。
② ドメイン特化型AI翻訳 – 医療専門AI翻訳、法律専門AI翻訳、技術分野専門AI翻訳など、汎用AIから分野に特化したAIが増加、普及する。
③ リアルタイム音声翻訳の普及 – 会議、商談での同時通訳レベルが実現し、言語の壁が低くなる。
この三つは間違いなく視野に入れるべきで、実際、現実的に日々サービス化が進められています。
7-2. それでも人間の翻訳者は必要
理由1:最終的な品質保証
どんなにAI翻訳が進化しても、最終的な品質保証は人間が担う必要があります。以下については、残念ながら、AI翻訳には責任を負ってはもらえません。現在では、AIが主体となる社会が存在せず、人が中心の社会の中で、あくまでも人のサポートとしての補助的な役割を担っているからです。
- 誤訳チェック
- 文化的適切性の確認
- ブランドトーンの維持
- 法的責任の担保
理由2:クリエイティビティ
AI翻訳は「学習したパターン」から訳を生成します。しかし、本当に新しい表現、共感や気持ちを動かす訳は人間にしか作れません。
理由3:判断と責任
「この文書にはAI翻訳が適切か、人間翻訳が必要か」——この判断自体が人間の仕事であることには変わりありません。
理由4:専門性と経験
医師、弁護士、エンジニアとしての実務経験を持つ翻訳者の経験的知見は、AIには代替できません。
7-3. 未来の翻訳者の役割
従来の翻訳者:プロセスと役割
原文を読む → 訳す → 納品
未来の翻訳者:解析マネジメントとチェック、PEコンサル
プロジェクトを分析 → AI vs 人間の判断 → AI翻訳の場合はPE → 品質保証 → 納品
未来の翻訳者の役割というのは、「翻訳のプロジェクトマネージャー」 – 「AI翻訳のエディター」 – 「品質保証の専門家」 – 「文化・言語のコンサルタント」です。
この分野でも、AIと人間が協力する環境が成立、発展していっています。
まとめ:AI翻訳を否定せず、賢く使い分ける「戦略的な翻訳管理」
最後にまとめますが、翻訳の賢い「進め方」をおさらいしてみます。
AI翻訳の現実
①✅ AI翻訳は確実に進化している – 定型文書、技術文書では実用レベル – スピードとコストで圧倒的優位
②✅ しかし万能ではない – 文脈理解、クリエイティビティ、専門性には限界 – 法的責任、安全性が関わる文書には不向き
人間の翻訳者の価値
AIがどれほど進化しても、以下の価値は「人」に属し、無価値になることは無いと考えられています。
- ✅ 深い文脈理解と判断力
- ✅ 文化・慣習への適応
- ✅ 品質保証とアカウンタビリティ
- ✅ 専門知識と経験
- ✅ クリエイティビティと感性
最適解は「使い分け」と「組み合わせ」
繰り返しますが、現状の最適解は、定型訳を中心にAIが担い、それを人が確認していくという「役割分担」です。
① AI翻訳のみ → 社内資料、情報収集
② AI翻訳 + ライトPE → 大量の社内文書、参考資料
③ AI翻訳 + フルPE → 製品マニュアル、ウェブサイト、技術文書
④ 人間翻訳 → 契約書、医薬品文書、広告コピー、ブランドメッセージ
当社の姿勢
私たちは、AI翻訳も人の翻訳も、いずれをも軽視しません。 両者の長所を組み合わせた最適解を追求していきます。
それは、お客様の目的、予算、納期、品質要求に応じて、最適なソリューションを提案するためです。
当社姿勢:
- AI翻訳で十分な場合は、正直に伝えます
- 人間翻訳が必要な場合は、その理由を明確にご説明します
- 両者を組み合わせる場合は、透明性を持ってご提案します
※このように、「誠実」に「柔軟性」をもってご対応してまいります。

次のステップ:無料診断のご案内
御社の翻訳プロジェクトに、AI翻訳は適していますか?それとも人間翻訳が必要ですか?
当社では、無料の翻訳アプローチ診断を提供しています。
診断内容:
✅ 翻訳文書の分析 ✅ AI翻訳 vs 人間翻訳の適性判断 ✅ 最適なアプローチ提案(AI+PE、人間翻訳、または組み合わせ)
✅ コスト試算(AI活用での削減効果) ✅ 品質保証の方法
診断の流れ: 1. 翻訳したい文書のサンプルをご提供 2. 当社が分析(AI翻訳テスト含む)
3. オンラインまたは対面で結果報告(60分) 4. 最適なアプローチと見積もりをご提示
AI翻訳に不安を感じているお客様: 一緒に最適解を見つけましょう。否定せず、押し付けず、お客様のニーズに合った提案をします。
費用:完全無料
所要時間:約1週間
お申し込み: ウェブサイトの問い合わせフォーム、またはお電話で 「無料翻訳アプローチ診断を希望」とお伝えください。
お問い合わせ方法: – ウェブサイトのお問い合わせフォームから – メール:rep@plustranslate.com – 電話:045-548-3537(平日9:00-18:00)
※ 専門スタッフが、丁寧にご対応いたします。

当社の強み
✅ とくに以下の専門分野に対応
医療・医薬、法律・契約、技術・IT、金融・IR、マーケティング、特許などの専門分野に対応しています。
✅ 高い品質管理
– 3段階以上のチェック体制 – ネイティブチェック標準装備 – 専門家レビュー(医師、弁護士等も可能)
✅ 柔軟な対応
– 特急対応可能(24時間〜) – 土日祝日対応 – 小ロット(500ワード〜)から大規模案件(100,000ワード以上)まで
✅ 透明な料金
– 明確な料金体系 – 見積もり後の価格変更なし – 追加料金なし(事前合意がある場合を除く)
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専任担当者制 – 24時間以内のレスポンス – 納品後30日間の無料修正対応 – 翻訳メモリ・用語集の継続管理
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– 年間1,000件以上のプロジェクト – 500社以上の企業との取引実績 – 医療機器、医薬品、法律、技術、金融など、あらゆる分野で実績
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