はじめに
みなさんは突然、英語の文章を読まないといけない場面に出くわしたりするようなことはありませんか。
たとえばビジネスにおける海外資料だったり、英語の試験問題だったり、いろんなことが考えられます。
日ごろの翻訳業務では、長文を読むのが当たり前ですが、英文は英語のまま内容を理解することになります。
そんなわたしたちの経験をもとに、英文をできるだけ訳さずに「速く読むコツ」というものを、ご紹介できればと思います。
さて、英語の長文でつまずきやすいポイントの一つが「分詞構文」だと思います。
「分詞構文」は、文を簡潔にするための表現方法ですが、難しいと感じる人も多いでしょう。
しかし、コツをつかめば「分詞構文」を正確に読み解けて、英文が速く読めるようになります!
今回は、「分詞構文」を使いこなすための基本ルールと攻略ポイントを詳しく解説します。
1. 分詞構文とは?
「分詞構文」は、メインの文(主節)に対して、ある種の説明を補うときに使います。
そのときに、現在分詞または過去分詞※という、動詞の派生語を使います。
※(過去分詞については、Haveの用法に関する記事でも触れました。)
まずは、文法的なことになってしまいますが、基本構造に触れておきます。
基本構造
- 現在分詞:Doing ~(~しながら、~していて)※つまり「現在」について述べている。
- 過去分詞:Done ~(~されて、~された状態で)※こちらは「過去や結果」。
そして、「ある種の説明」を分類すると、以下のものになります。
- 動作の同時性を表す
- 原因や理由を説明する
- 結果を示す
- 条件を示す
- 譲歩を表す
これらの分類は、学校の文法テストでは役に立ちますが、ここでは忘れてください。
(… これを知ったから、英文が速く読めるようにはならないからです。)
この「~分詞」というものは、「動詞」から派生、変化した言葉です。
「動詞」ではないため、単独で文章の「述語」となることはありません。
文の結論(述語)ではなく、補足説明(付加的な情報)の部分になります。
そしてほとんどの場合、「~して、」(または「~で、」)という意味の捉え方をします。
何か、完結しない「しり切れトンボ」?な言い回しに聞こえるでしょうか。
そうです。この「完結しないしり切れトンボ」が「分詞構文」の本質といえます。
というのも分詞構文は、あくまで補足説明ですから。そこだけ切り出すと「しり切れトンボ」なのです。
それでは、実際の意味の捉え方を、次の例文でご覧ください。
例文
- 同時性 :
- She was reading a book, listening to music.
(彼女は本を読みながら、音楽を聴いていた。)→ 彼女は本を読んでいた。音楽を聴いて。
- She was reading a book, listening to music.
- 理由 :
- Feeling tired, he went to bed early.
(疲れていたので、彼は早く寝た。)→ 疲れていて、彼は早く寝た。
- Feeling tired, he went to bed early.
- 結果:
- The storm destroyed the bridge, leaving the town isolated.
(嵐が橋を破壊し、その結果町が孤立した。)→ 嵐が橋を破壊した。町は孤立したままで。
- The storm destroyed the bridge, leaving the town isolated.
きちんとした日本語訳のうしろに、「~して(で)」というふうに言い方を変えた訳をつけてみました。
いかがでしょう。「しり切れトンボ」の部分の意味のとらえ方は、こんな風になります。
もう少し例文をご紹介しますが、次のポイントと合わせてお伝えしていきます。
2. 長文における分詞構文のポイント
それでは、分詞構文の意味のとりかたのポイントを見ていきます。
- 主語が省略される
分詞構文では、主節と同じ主語を持つ場合に主語が省略されます。
- Walking down the street, she saw a beautiful flower.
通りを歩いていて、彼女はきれいな花を見た。- → 主語 “she” は主節と同じ。
- 文脈で意味が決まる
分詞構文が「理由」「同時性」「結果」「条件」「譲歩」のどれを表すのかは、文脈によります。
したがって、細かな区別を気にしなくても問題ありません。
- Seeing the accident, he called the police.
事故を見て、彼は警察を呼んだ。- → 「事故を見たので(理由)」と解釈できる。
- 訳し方にこだわらない
実は、分詞構文を日本語にそのまま直訳すると、どうしても不自然になりがちです。
よって、意味の分類にもこだわらず、「~して」くらいのとらえ方で十分なのです。
- The teacher entered the classroom, smiling brightly.
先生は教室に入ってきた。明るく笑って。- → もし、訳すと 「先生は教室に入ってきて、明るく微笑んでいた。」
- 頻出のものを覚えてしまう
- Generally speaking(一般的に言えば)→ 一般的に言って
- Judging from ~(~から判断すると)→ ~(から)判断して
- Considering ~(~を考えると)→ ~(から)考えて
3. 分詞構文の意味をとらえる練習
それでは、もう少し例文で、分詞構文の意味のとらえ方を練習してみましょう。
少しぎこちなく感じるかもしれませんが、「~して」というとらえ方の練習です。
- Reading a book in the library, he suddenly realized he had an appointment.
図書館で本を読んでいて、とつぜん彼は、約束があったことに気が付いた。 - Being a good cook, she is always invited to parties.
良いコックとなって、彼女はいつもパーティーに呼ばれる。 - Not knowing what to do, he asked for help.
どうすべきか分からないで、彼は助けを求めた。 - Built in 1920, the house is still in good condition.
1920年に建てられて、その家はまだ良い状態です。
4. まとめ
いかがでしょうか。分詞構文は難しく感じるかもしれませんが、「~して」というニュアンスを意識することで慣れていきます。
長文では、以下のポイントを押さえるとスムーズに読み進められるでしょう:
- 主語の省略に注意する。
- 文脈で意味が決まる。
- 日本語に訳すと不自然。
分詞構文に慣れることで、英語を読む速度が大きく向上します。
ぜひ今回のコツを活用して、さらなるステップアップにつながれば、幸いです!