はじめに
みなさんは、突然、英語の文章を読まないといけない場面に出くわしたりするようなことはありませんか。
たとえばビジネスにおける海外資料だったり、英語の試験問題だったり、いろんなことが考えられます。
私たちの日ごろの翻訳業務では、長文を読むのが当たり前ですが、英文は英語のまま内容を理解することになります。
そんなわたしたちの経験をもとに、いろいろな場面で役に立つ、英文をできるだけ訳さずに「速く読むコツ」というものを、ここではご紹介したいと思います。
第二弾は、「関係代名詞を克服しよう !」です。
「関係代名詞」は、なぜわかりにくいのか
「関係代名詞」というものを覚えているでしょうか。多くの人が中学校で習うと思います。
この「関係代名詞」というもので英語が嫌いになる人は大勢います。(当然と思えます。)
というのも、前回の「to不定詞」と同じく、文法的に理解しようとすると、とてもややこしいからです。
とは言っても、この関係代名詞は、ほとんどの文章でよく出てきますから、避けて通れません。
ところが実は、この「関係代名詞」もイメージで理解すると、だいぶ長文を読むスピードが上がるのです。
まず、「関係」ということですが、「つなげる」ということになります。「接着剤」のようなものです。
以下をご覧ください。
Emily’s the girl who helped me yesterday.
「エミリーが、昨日私を助けてくれた子なのです。」
日本語を見ると、”「昨日私を助けてくれた」子”となっています。「昨日私を助けてくれた」の部分が、うしろの「子=英語はgirl」を詳しく説明しています。
つまり説明する言葉が、前の方にきています。
ところが英語では逆転して、「女の子= girl」が先に来ていて、説明する箇所(who以下)は、後になっています。
まず、この説明語順の逆転が、「関係代名詞」をわかりにくくさせていると言えます。
学校では、上の例文のような日本語の訳を教えますから、うしろからの「返り読み」のような形となってしまい、どうしても文章を読むうえでは足かせになって、読むスピードが遅くなってしまうのです。
(覚える必要はありませんが、説明のための語順が、日本語は「前置」修飾といい、英語は「後置」修飾という違いがあります。)
関係代名詞の本質
「to」と同じように、「関係代名詞」にも本質的な役割があります。先ほどの「接着剤」としてのはたらきのほかに、「代名詞」としての役割です。
ちなみに、「接着剤」ということを説明すると、前のことばに「関係づける(つなげる)」もの、ということになります。
それでは、「代名詞」としての役割を意識して、先ほどの例文を理解してみます。
1. Emily is the girl who helped me yesterday.
エミリーは、その子です。(その子は、)私を昨日助けてくれました。
いかがでしょうか。「その子は」と繰り返していますので、これが「代名詞」です。英語でいうところの、she (= 彼女は) です。
関係代名詞の例文
同じ様に、いくつか例文を挙げてみます。※(人でない場合は、whichやthatを使います。)
2. I have a dog which loves to play fetch.
私は犬がいます。(そいつは、)ボール遊びが大好きです。
3. The man whom I met at the party was very kind.
その男性は、(その人に)私はパーティーで会ったが、とても親切でした。
4. This is the movie which everyone is talking about.
これがその映画です。 (それを)みんなが話題にしています。
5. I know a boy whose father is a famous chef.
少年を知ってる。 (その子の)父親が、有名なシェフです。
6. This is the house whose roof was damaged in the storm.
これがその家です。 (そいつの)屋根は、嵐で壊れました。
いくつか、短い文をあげてみましたが、いかがでしょう。どんな長文でも、この読み方で、意味が把握できます。
たまに、「関係代名詞」が隠れるときがありますが、いちいち言わなくてもうまくつながるときは、省略されます。(先の文では、3番と4番になります。)
もう2つ、省略できる場合の例文をご覧ください。3・4・7・8の「関係代名詞」は、主語として使われておらず、「目的語」になっています。この場合は、いちいち言わなくてもわかるので、省略されて姿を消すことになります。
7. The book (that) I’m reading is really interesting.
その本は、 (そいつを) 私が読んでいるが、ホント面白い。
8. The bag (which) she bought is very expensive.
そのバッグは (そいつを) 彼女が買ったが、とても高価です。
繰り返しになりますが、「代名詞」は、「そいつは(主語)」、「そいつの(所有)」、「そいつを、そいつに(目的)」の、三つの言い方のどれかになります。
そして、前のことばを詳しく説明したいときに、「関係詞」として接着剤のはたらきを果たすのが、「関係代名詞」というものになります。
おまけの関係詞 「関係副詞」
最後についでに、「関係副詞」にも触れておきます。名前はどうでも良いのですが、やはり前にあることばを詳しく説明する役割があります。
それらは、場所(where)、時(when)、理由(why)、方法(how) をくわしく説明するときに使います。
場所は「そこで、そこに」、時は「そのとき」、理由は「それで」、方法も「それで(どの様に)」という理解で大丈夫です。
一度に覚えずに、例文などで慣れてしまうのが、一番良いと思われます。
9. This is the park where we used to play as kids.
これがその公園です。 (そこで) 私たちは子供のころよく遊びました。
10. Do you remember the day when we first met?
覚えていますか、その日を。 (そのとき)私たちは初めて会った。
11. I don’t know the reason why she left so suddenly.
私には、理由がわかりません。(それで)突然、彼女がいなくなりました。
12. Can you show me how you fixed the computer?
教えてもらえますか。 (どのように)そのPCを直したのか(方法)を。
最後の例では、howという関係詞には、「方法」の意味が含まれています。したがって、説明されることば(= 「先行詞」といいます。) は、特に必要ないことになります。
まとめ
いいかがでしたでしょうか。
代名詞の「そいつは(主語)」、「そいつの(所有)」、「そいつを、そいつに(目的)」ということばが、「関係詞」という「接着剤」のはたらきを持って、「関係代名詞」というものになっていることが伝わりましたでしょうか。
この接着剤によって、後からくわしく説明するという語順に慣れることで、「関係代名詞」や「関係副詞」を含む英文を、訳さずに速く読むことが可能になります。
いくつかの英文にあたると、すぐに慣れて読みやすくなると思います。(個人の感想、です。)
ぜひ試してみてください。